歌舞伎町の空気がそのまま紙面から漂ってくるような作品でした。派手な世界の裏側にある、男同士の妙な居心地の良さが丁寧に描かれていて、ラーメン屋でのくだらない掛け合いが何より印象的です。デュポンのライターの音が、二人の関係の象徴として効いていて、最後にもう一度それが鳴る場面の切なさは強く残ります。事件そのものは大きく語られず、噂話として淡く処理されているところに、街の摩耗した距離感がよく出ていると思いました。短編ながら、読後にしばらく頭から離れない作品です。「夢幻シリーズ」の続きも気になります。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(182文字)
レビューの表題は、俳優で冒険小説愛好家だった内藤陳氏の決め台詞。こちらは作者様のハードボイルド第2弾。前作が『夢幻』だったので、シリーズ化されるのかもしれません。作者と同名の人物がどちらも出てきますし。歌舞伎町の危ない匂いがプンプンしてくる世界は、前作も見どころでしたが、磨きがかかって来ました。美しい女、怖い男、悪い奴じゃないけどバカできっと最後は酷い目に遭う若い男。全部出て来ます。やるせない余韻を残すラストまで、これは本格的なハードボイルドだど❗️
夜の街の空気感がとてもリアルで、一気に作品の世界へ引き込まれました。派手な世界なのに、会話や何気ないやり取りには人間臭さがあって、不思議と惹かれます。タイトルの「残煙」も作品にぴったりで、読後の余韻がとても印象的でした。
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