概要
失敗を排除した社会が、唯一排除できなかったもの。
長野県の山間部、鬼無村。先人の言い伝えをAI化した《人生最適化教育》が全国に広がり、失業も犯罪も激減した時代。神崎湊は十八年間、エラーひとつなく生きてきた優等生だった。だが転入生・雨宮ルカと出会った日から、端末が「不明」と記録する感情が、湊の中に育ち始める。これは、正しく生きようとした少年が、正しい人生を終わらせるまでの物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!正しさの外に残った、人間の温度
自主企画へのご参加ありがとうございます。
「失敗を排除した社会」という設定は強いですが、それを大きな事件や派手な反抗ではなく、ひとりの少年が“わからない感情”に触れていく流れで描いているところが良かったです。
構成としては、端末やスコア、推奨という無機質なものに対して、山、川、絵、スケッチブックといったものが少しずつ対になるように置かれていて、物語全体の軸が分かりやすかったです。特に、最初は理解できなかったものが、時間を経て別の意味を持って戻ってくる作りは綺麗でした。
文章も読みやすく、感情を大きく叫ばせないぶん、湊の中で起きている変化が静かに伝わってきます。
「楽しい」「会いたい」「…続きを読む