概要
止まっていた青春が、工場で動き出す。
工場で働いて、六年が過ぎた。
柴崎直人、二十四歳。タトヨブレーキシステムズ、製造部検査グループのリーダー。高校を出てそのまま入社し、作業を覚え、油と鉄の匂いを体に染み込ませながら、一日一日を積み上げてきた。
最初の一年は覚えることで精いっぱいだった。二、三年目に「わかってきた」と思えた。六年目のいまは、ラインの流れを見れば何が起きているか体でわかる。それだけのことだ。リーダーという肩書きはついたが、特別なものではない。ラインを管理して、品質を確認して、後輩に教えて、帰る——その繰り返しが、いつの間にか直人の日常になっていた。
止まっていた、とは思っていなかった。
ただ、何かが欠けているような気がすることは、あった。
そこへ現れたのは、高坂真昼。
高校時代、成績でいつも一位の直人に食ら
柴崎直人、二十四歳。タトヨブレーキシステムズ、製造部検査グループのリーダー。高校を出てそのまま入社し、作業を覚え、油と鉄の匂いを体に染み込ませながら、一日一日を積み上げてきた。
最初の一年は覚えることで精いっぱいだった。二、三年目に「わかってきた」と思えた。六年目のいまは、ラインの流れを見れば何が起きているか体でわかる。それだけのことだ。リーダーという肩書きはついたが、特別なものではない。ラインを管理して、品質を確認して、後輩に教えて、帰る——その繰り返しが、いつの間にか直人の日常になっていた。
止まっていた、とは思っていなかった。
ただ、何かが欠けているような気がすることは、あった。
そこへ現れたのは、高坂真昼。
高校時代、成績でいつも一位の直人に食ら
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