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概要
父を喰ったのは、市場だった
父は、株価が上がる日だけ機嫌が良かった。
工場勤めの平凡な男が「株で人生を変える」と信じた日から、家の中は少しずつ壊れていった。車が消え、母の指輪が消え、やがて笑顔まで消えた。それでも父は言い続けた——「次で戻る」と。
高校生の西条誠が帰宅した冬の夕方、テレビでは市場の反発が明るく報じられていた。
父の足が、ゆっくり揺れていた。
世界は何も変わらなかった。市場は回復し、赤い数字は踊り続けた。
雪の歩道橋で株価速報を見上げながら、誠は決意する。
――いつか、この市場を壊してやる。
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