概要
直してきた十年が、世界を結ぶ五要素になる。
入江志保、三十二歳。中堅旅行手配会社の発券課で、もう十年。
誰にも気づかれないまま、毎晩、同期の課長補佐・黒澤遥が雑に積み上げた予約記録の誤りを直し続けてきた。手柄は奪われ、ミスだけが押しつけられても、彼女はただノートにそれを書き続ける――P・R・I・N・T。Phone、Received from、Itinerary、Name、Ticketing limit。航空券が成立する五要素を、唱えるたびに自分を保つように。
そんな金曜の夜、彼女はファイルキャビネットの古いバウチャーに触れた瞬間、見知らぬ石造りの広間に立っていた。地下三階の老司書ヴァレヌスは静かに告げる――「世界の予約記録の発券期限まで、あと三十日」。
しかも、世界を白紙に戻して自分の名で再発券しようとしている黒衣の宰相こそ、十年前
誰にも気づかれないまま、毎晩、同期の課長補佐・黒澤遥が雑に積み上げた予約記録の誤りを直し続けてきた。手柄は奪われ、ミスだけが押しつけられても、彼女はただノートにそれを書き続ける――P・R・I・N・T。Phone、Received from、Itinerary、Name、Ticketing limit。航空券が成立する五要素を、唱えるたびに自分を保つように。
そんな金曜の夜、彼女はファイルキャビネットの古いバウチャーに触れた瞬間、見知らぬ石造りの広間に立っていた。地下三階の老司書ヴァレヌスは静かに告げる――「世界の予約記録の発券期限まで、あと三十日」。
しかも、世界を白紙に戻して自分の名で再発券しようとしている黒衣の宰相こそ、十年前
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