★
0
概要
持ち帰ったはずの箱が、女を選びに戻る
蒲田駅西口の小さな修理屋には、「靴・鞄・時計・その他」と書かれた看板がある。
その日、「その他」として持ち込まれたのは、成田から来た男が抱える古い木箱だった。
鍵穴も、蝶番も、蓋の境目すらない。
中に入っているのは、祖父の声だという。
開けるな。
開けたなら、聞け。
箱に刻まれた言葉を見つけたとき、女はそれが修理するものではなく、土地に憑いた何かを閉じ込めるものだと気づく。
そして男が確かに持ち帰ったはずの箱は、夜になって、ふたたび蒲田の店へ戻ってくる。
もう何年も前に亡くなった祖母の声で、女を呼びながら。
その日、「その他」として持ち込まれたのは、成田から来た男が抱える古い木箱だった。
鍵穴も、蝶番も、蓋の境目すらない。
中に入っているのは、祖父の声だという。
開けるな。
開けたなら、聞け。
箱に刻まれた言葉を見つけたとき、女はそれが修理するものではなく、土地に憑いた何かを閉じ込めるものだと気づく。
そして男が確かに持ち帰ったはずの箱は、夜になって、ふたたび蒲田の店へ戻ってくる。
もう何年も前に亡くなった祖母の声で、女を呼びながら。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?