概要
終わった世界で、答えのない問いを考え続ける。静かな、命の証明。
割れたアスファルトと、ずいぶん前に役目を終えた信号機。
人の消えた静寂の街で、時計修理工は今日も作業台に向かっている。
直しているのは、一日に六秒遅れる銀色の懐中時計。
持ち主が誰だったのか、とうの昔に忘れてしまった。
「修理は非効率です。廃棄を推奨します」
定刻通りに声をかけてくる相棒の正論を聞き流し、修理工は小さな歯車を組み上げていく。
無意味で非効率な作業。それでも、部品が噛み合い、針が進む。
その連鎖だけが、孤独な世界で確かに時を刻んでいた。
やがて、開け放たれた窓から「仕様書にない」春の匂いが流れ込んだとき。
ふたりの胸の奥で、同じ音が静かに響き出す。
「生きることは考えることだ」
終わった世界に取り残されたふたりが紡ぐ、静寂と温もりに満ちたSF会話劇。
第三回さいかわ
人の消えた静寂の街で、時計修理工は今日も作業台に向かっている。
直しているのは、一日に六秒遅れる銀色の懐中時計。
持ち主が誰だったのか、とうの昔に忘れてしまった。
「修理は非効率です。廃棄を推奨します」
定刻通りに声をかけてくる相棒の正論を聞き流し、修理工は小さな歯車を組み上げていく。
無意味で非効率な作業。それでも、部品が噛み合い、針が進む。
その連鎖だけが、孤独な世界で確かに時を刻んでいた。
やがて、開け放たれた窓から「仕様書にない」春の匂いが流れ込んだとき。
ふたりの胸の奥で、同じ音が静かに響き出す。
「生きることは考えることだ」
終わった世界に取り残されたふたりが紡ぐ、静寂と温もりに満ちたSF会話劇。
第三回さいかわ
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