甘いお菓子
月乃 レイ
甘いお菓子
女王陛下は甘いお菓子がお好きだ。
すでに甘いチョコレートに蜂蜜をかけるほど
体に悪い、と何度も注意したことか。
国王様とのお茶会で、紅茶に角砂糖の言えれすぎで怒られもしたと言うのに。
けれど女王陛下はとても立派なリーダーだ。体の悪い皇帝の代わりに仕事をこなす。
国王が忙しくて国を離れている時は女王が司令を出し、国バランスを保っている。
ただ、仕事をしている時にこそ、喉が焼けるのではないかと心配するほど甘いものを食べる。
ストレスを甘いものにぶつけているのか、はたまた集中力を上げるためなのか、わからない。
🍫🍫🍫🍫
ただある日、国王がいない日に女王陛下が倒れた。
理由は過度なストレスによる病。
女王陛下は寝込んでいる時、「甘いものが欲しい、甘いものが食べたい」と唸っている。
「どうしてですか」ある日、聞いてみた。
「どうしてそんなに甘いものが食べたいのですか」と。
女王陛下は答えた、「私を直してくれるから」と。直すどころか、砂糖の摂りすぎはどこも体に良くない。
「甘いものを持ってこい、甘いものを食べさせろ」
としか言わなくなり、メイドたちは仕事を辞めさせられると怯え、溶かしたチョコを少量女王陛下の口に入れた。
その晩、女王陛下はお亡くなりになられた。
僕は膝から崩れ落ちた。
国王は笑う、「私は甘いものが嫌いなんだ」と。
「この城の甘いもの全てにすこーしだけ毒を仕込んでいれば、バレることもなくアイツは殺される。過度な摂取をしない限り死ななかったのにな。」
国王の計画を止められなかった。
あぁ、国王を殺さなければ。
女王陛下のためにも。
🍬🍬🍬🍬
だから今日の国王の晩餐には『甘いお菓子』を用意しておいた。それも、女王陛下が口にした、溶けたチョコをパンに塗って。
女王陛下は、きっと毒のことを知っていたのだろう。
ご自身が今日、死ぬことを願いながら。
このことがバレたら、僕も処刑されるだろう。そんな方法で女王陛下に会えるのなら、僕は悔やまない。
あなたが何度も勧めてくれたチョコレートを、口に運んだ。それはいつものチョコレートではなく、少し苦かった。
あぁ、最後まで女王陛下の愛した甘い甘いお菓子とは程遠いのだと痛感する。
頭痛と吐き気が身体中に広がり、メイドたちの声が聞こえる。
「どうしたの」
「急に倒れて…」
「なんで貴方まで…」
慌て、叫ぶメイドたちの質問に、最後くらい答えてあげようと口を開いた。
「甘いお菓子を、食べただけだよ」
甘いお菓子 月乃 レイ @Tukino_rei415
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