桜 .

@ __ 奏 夜 __ 。

逢 .


『永遠なんかない。』


そう言った君ののこりはあと1年。


『そんなこと言うなよ。』


『事実でしょ?』


『じゃあ、あと1年僕は君とどう過ごせばいいのさ。』


何故か気になった。


『君はいつも通り私と過ごしてくれればいい。』


彼女はそう言う。


でも、


僕が嫌だった。


『嫌だ。なんかしてあげたい。』


『ふはっ、いやいや期なの?』


馬鹿にされた。


『でも…!』


『ほんとに、私は普通に過ごして、普通に死にたいの。』


言ってることが彼女らしかった。


どうやら、僕と彼女の思考は全く別のようだ。


『ほら、桜満開だよ。』


窓に目を向けると、満開の桜があった。


『綺麗だね、桜。』


『君と一緒に見ると、もっと綺麗だよ。』


窓は完全に締まり切ってるはずなのに、


何故か桜の匂いがした。


それを見ている彼女は、


今にも消えてしまいそうで、


怖い。


桜のが揺れた時、


彼女の髪の毛がふわっと、なびいた。


『桜が綺麗だね』


さっき僕が言ったこととほぼ同じことを、彼女は呟いた。


僕には理由がよくわからなかった。


『…この言葉の意味、知ってる?』


『知らない。』


『またここでいましょう、って意味なんだって。』


自然と涙が出た。


何の感情もない涙。


彼女の言葉に、何て返せばいいかわからない。


『…空も、綺麗だね。』


彼方あなたを愛してる”


『明日は、晴れるよ。』


“私も同じ思いです。”


ちょっとおかしくて、


甘酸っぱくて、


ほのかに恋と桜の匂いがする、


そんな会話だった。


『じゃあ、また1週間後になっちゃうけど、来るから。』


『うん、ばいばい。』



最後に、ありがとうって、言いたかった。



____



1年後。


あの日見た桜は、今年も綺麗に咲いていた。


風が吹くと、彼女の声が聞こえる、気がする。


永遠なんかない。


そんなの、嘘。


だって、


彼女が生きていたことも、


僕が今生きていることも、


なかったことじゃないから。


事実だから。


…ねえ、咲楽さくら


『虹が綺麗だね。』


“彼方と一緒に居たい”


僕がそう言った時、


虹色の橋が空に浮かんでいた。




____彼方は、僕の気持ちにこたえてくれますか?

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