100万人に愛されるキャラクター作成術 〜読者が「推し」になってくれる魅力的な人物の作り方〜

松田裕介

「このキャラクター大好き!」と言われる人物の作り方

 ◆◆◆ はじめに ─ なぜあのキャラクターは愛されるのか ◆◆◆


「どうして私のキャラクターには魅力がないんだろう...」

「読者に名前すら覚えてもらえてない」

「他の作品みたいに『推しキャラ』って言ってもらいたい!」


 そんな悩みを抱えているあなた。実は、愛されるキャラクターには〈共通の法則〉があるんです。

 私も昔は安直で中身のないキャラクターばかり作っていました。でも読者の反応は薄い。なぜなら〈親しみが湧かない〉からでした。


 この記事では、読者が思わず感情移入してしまう、愛されるキャラクターの作り方をお伝えします。明日からあなたの物語のキャラクターたちも、きっと読者の心を掴めるはずです。


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 ◇◇◇ その1:愛されるキャラクターの「黄金比率」 ◇◇◇


 ●「羨望型」と「共感型」─ 2つの愛され方

 多くの初心者がやりがちなのが〈中途半端なスペック盛り〉です。「美人で頭が良くて運動神経も良くて……」でも、なぜかパッとしない。

 実は、愛されるキャラクターには2つのタイプがあるんです。


 〈羨望型キャラクター〉

 完璧で美しく、読者が「こんな風になりたい」「こんな人と付き合いたい」と憧れるタイプ。成功例:絶世の美女、天才、カリスマ性のあるリーダーなど。


 〈共感型キャラクター〉

 欠点があって等身大で、読者が「この子の気持ち分かる」「応援したい」と感じるタイプ。成功例:ドジっ子、努力家、コンプレックスを抱えた子など。


 問題は、どちらも中途半端にやってしまうこと。「完璧だけど親しみやすい」なんて設定にすると、どちらの魅力も薄れてしまいます。

 大切なのは〈どちらかに振り切る〉ことです。羨望型なら徹底的に完璧に。共感型なら人間臭く親しみやすく。


 ●〈魅力的な欠点〉の作り方

 愛されるキャラクターの秘密は〈魅力的な欠点〉です。ただの欠点ではダメ。読者が「でもそこがかわいい」と思えるような欠点を作るのがコツです。


 魅力的な欠点の例──

 ・方向音痴だけど、迷子になっても前向き

 ・人見知りだけど、仲良くなると甘えん坊

 ・負けず嫌いだけど、勝った後は相手を気遣う

 ・おっちょこちょいだけど、大事な時は集中力を発揮


 共通点は〈欠点の裏に魅力がある〉ことです。単に「性格が悪い」「能力が低い」では読者は離れていきます。


 ●〈ギャップ〉で心を掴む

 読者が一番キュンとするのは〈ギャップ〉です。普段とは違う一面を見せた瞬間、キャラクターの魅力が何倍にもなります。


 効果的なギャップの例──

 ・普段はクールなのに、動物を見ると目を輝かせる

 ・いつも強がっているのに、一人の時は弱音を吐く

 ・厳しい先生なのに、生徒のことを誰よりも心配している

 ・不良っぽいのに、実は家族思い


 大切なのは〈意外性〉と〈納得感〉のバランスです。あまりに突飛すぎると「キャラが崩壊してる」と思われてしまいます。


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 ◇◇◇ その2:感情移入される「内面設計」 ◇◇◇


 ●〈願い〉と〈恐れ〉を明確にする

 愛されるキャラクターには、必ず明確な〈願い〉と〈恐れ〉があります。これがあることで、読者は「この人の幸せを願いたい」「この人を応援したい」という気持ちになるんです。


 願いの例──

「お母さんを安心させたい」「友達を作りたい」「夢を叶えたい」「大切な人を守りたい」


 恐れの例──

「また裏切られるのが怖い」「失敗して笑われるのが怖い」「一人になるのが怖い」「大切な人を失うのが怖い」


 この〈願い〉と〈恐れ〉が物語の中で揺れ動くことで、読者はハラハラドキドキしながらキャラクターを見守ることになります。


 ●〈成長の余地〉を残しておく

 最初から完成されたキャラクターより、物語を通じて成長するキャラクターの方が愛されます。読者は〈成長を見守る〉ことに喜びを感じるからです。


 成長パターンの例──

 ・内気な子が勇気を出せるようになる

 ・自己中だった子が仲間の大切さに気づく

 ・諦めがちだった子が最後まで頑張れるようになる

 ・人を信じられなかった子が心を開く


 大切なのは〈小さな変化を積み重ねる〉ことです。急激な変化は不自然に見えてしまいます。


 ●〈秘密〉で読者の興味を引く

 キャラクターに〈秘密〉があると、読者は「この人の過去に何があったんだろう」「本当はどんな人なんだろう」と興味を持ち続けてくれます。


 効果的な秘密の例──

 ・なぜその夢を目指すようになったのか

 ・過去にどんな辛い経験をしたのか

 ・本当は何を一番大切にしているのか

 ・誰にも言えないコンプレックスは何か


 秘密は〈小出し〉にするのがコツです。一気に全部明かさず、物語の進行に合わせて少しずつ明らかにしていきましょう。


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 ◇◇◇ その3:印象に残る「外見・仕草・口調」 ◇◇◇


 ●〈癖のある仕草〉で個性を演出

 人間らしさを感じさせるのが〈癖のある仕草〉です。これがあることで、キャラクターが生きているように感じられます。


 魅力的な仕草の例──

 ・考え事をする時、髪をくるくる巻く

 ・緊張すると鼻を触る

 ・嬉しい時、小さく手をぎゅっと握る

 ・照れると耳を触る


 ポイントは〈感情と連動〉させることです。「この仕草が出ると、この子はこんな気持ちなんだな」と読者が理解できるようになります。


 ●〈口調〉でキャラクターを区別する

 複数のキャラクターが登場する時、〈口調〉で区別できると読者にとってとても親切です。セリフを読んだだけで「誰が話しているか」分かるからです。


 口調のバリエーション例──

「だよね〜」「そうそう!」(親しみやすい子)

「そうですね」「申し訳ございません」(丁寧な子)

「〜っス」「マジで?」(元気な子)

「...そうね」「別に」(クールな子)


 ただし、やりすぎると読みにくくなるので注意。〈自然さ〉を保ちながら個性を出すのがコツです。


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 ◇◇◇ その4:読者が応援したくなる「人間関係」 ◇◇◇


 ●〈孤独感〉から始める

 読者が一番応援したくなるのは〈孤独を感じているキャラクター〉です。人間は本能的に「一人で頑張っている人を助けたい」と思う生き物なんです。


 効果的な孤独感の演出──

 ・転校生で友達がいない

 ・家族とうまくいっていない

 ・周りに理解してもらえない夢を持っている

 ・過去のトラウマで人を信じられない


 ただし、孤独なままで終わってはダメ。物語を通じて〈つながり〉を得ていく過程を描くことで、読者は感動してくれます。


 ●〈対立〉と〈和解〉で関係性を深める

 キャラクター同士がずっと仲良しでは、物語が単調になってしまいます。時には〈対立〉させて、その後の〈和解〉でより深い絆を描きましょう。


 対立→和解のパターン例──

 ・価値観の違いでケンカ→お互いを理解して仲直り

 ・誤解が原因で溝→真実が分かって結束

 ・ライバル関係→共通の敵に立ち向かって仲間に

 ・嫉妬で険悪→相手の良さを認めて友情


 大切なのは〈対立にも理由がある〉ことです。理不尽な対立では読者が不快になってしまいます。


 ●〈支え合い〉で感動を生む

 読者が一番グッとくるのは、キャラクター同士が〈支え合う〉場面です。一人では乗り越えられない困難を、仲間と一緒に乗り越える──これが物語の醍醐味です。


 感動的な支え合いの例──

 ・落ち込んでいる時に黙って寄り添ってくれる

 ・大事な場面で「君なら大丈夫」と背中を押してくれる

 ・失敗した時に「次は一緒にやろう」と言ってくれる

 ・誰も信じてくれない時に最後まで信じてくれる


 こういう場面があると、読者は「この人たちの関係っていいな」と思い、より深くキャラクターを愛してくれるようになります。


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 ◇◇◇ その5:Web小説で愛される「現代的キャラクター」 ◇◇◇


 ●〈等身大〉であることの価値

 現代の読者、特にWeb小説の読者は〈等身大のキャラクター〉を求める傾向があります。超人的な能力より、普通の人がちょっと頑張る姿の方に共感するんです。


 等身大キャラクターの特徴──

 ・普通の学生、普通の会社員

 ・特別な才能はないけど、努力家

 ・完璧じゃないけど、一生懸命

 ・時には失敗するけど、諦めない


「私もこんな風に頑張りたい」と思わせることができれば、読者はそのキャラクターを応援し続けてくれます。


 ●SNS時代の〈リアルな悩み〉

 現代の若者が抱える悩みを反映させることで、読者との距離感を縮められます。


 現代的な悩みの例──

 ・SNSでの人間関係に疲れている

 ・「いいね」の数を気にしてしまう

 ・将来への漠然とした不安

 ・情報過多で何を信じていいか分からない


 こうした〈リアルな悩み〉を扱うことで、読者は「まさに今の自分の気持ち」と感じ、より深く感情移入してくれます。


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 ◇◇◇ その6:コメントを呼ぶ「キャラクター描写術」 ◇◇◇


 ●〈行動〉で性格を見せる

 キャラクターの性格は、説明するより〈行動〉で見せる方が効果的です。読者は説明されるより、自分で発見する方が楽しいからです。


 行動で性格を見せる例──

 ・優しい子:困っている人を見かけると放っておけない

 ・真面目な子:約束の時間より10分早く到着する

 ・おっちょこちょいな子:階段で同じ段を2回踏む

 ・負けず嫌いな子:ゲームで負けると悔しそうに唇を噛む


 読者が「あ、この子はこういう性格なんだ」と気づいた時の快感。これを作り出すのがキャラクター描写の醍醐味です。


 ●〈内心の声〉で共感を生む

 読者が一番共感するのは、キャラクターの〈内心の声〉です。表向きは強がっていても、心の中では不安を抱えている──そんなギャップに読者はグッときます。


 効果的な内心描写の例──

 ・表面:「大丈夫、私一人でもやれるから」

 ・内心:(本当は誰かに頼りたい...でも迷惑かけたくないし)

 ・表面:「別に気にしてないよ」

 ・内心:(すごく気になるけど、プライドがあるから言えない)


 この〈表と裏のギャップ〉があることで、読者は「本当はこんなことを考えてるんだ」と理解し、より深くキャラクターを愛してくれるようになります。


 ●〈会話の間〉で感情を表現する

 キャラクターの感情は、言葉そのものより〈会話の間〉や〈言い方〉で表現できます。


 感情を表現する会話の例──

 ・怒っている時:「......分かった」(冷たく短く)

 ・照れている時:「そ、そんなこと...ないよ?」(どもりながら)

 ・悲しい時:「大丈夫だから...」(声が震えながら)

 ・嬉しい時:「ありがとう!本当に!」(弾んだ声で)


 読者は〈行間を読む〉のが得意です。直接的に「怒っていた」と書くより、会話の雰囲気で伝える方が効果的なんです。


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 ◇◇◇ その7:長期連載で愛され続ける「キャラ育成」 ◇◇◇


 ●〈小さな変化〉を積み重ねる

 長期連載では、キャラクターを〈少しずつ成長〉させることが重要です。急激な変化は不自然ですが、小さな変化の積み重ねは読者に「この子、前より強くなったな」という感動を与えます。


 小さな成長の例──

 ・人見知りだった子が、自分から挨拶できるようになる

 ・泣き虫だった子が、涙をこらえて頑張れるようになる

 ・一人でいることが多かった子が、友達と笑えるようになる

 ・自分に自信がなかった子が、「私にもできるかも」と思えるようになる


 読者は〈成長の瞬間〉を目撃することで、まるで自分の子どもや友達を見守っているような気持ちになります。


 ●〈新たな一面〉を定期的に見せる

 長期連載では、読者が飽きないよう〈新たな一面〉を定期的に見せることも大切です。


 新たな一面の例──

 ・いつもクールな子の意外な趣味

 ・おとなしい子の隠れた特技

 ・明るい子の過去の辛い経験

 ・厳しい子の優しい本音


 ただし、〈キャラクターの一貫性〉は保つ必要があります。あまりに意外すぎると「別人になった」と思われてしまいます。


 ●〈読者の期待〉に応えつつ裏切る

 読者は「この子にはこうなってほしい」という期待を持っています。その期待に〈8割応えて、2割裏切る〉のが、長期連載で愛され続けるコツです。


 期待に応えつつ裏切る例──

 ・読者の期待:「この子には恋愛成就してほしい」

 ・8割応える:ちゃんと両思いになる

 ・2割裏切る:でも思っていた相手とは違う人と結ばれる


 完全に期待通りでは面白くないし、完全に期待を裏切ると読者が離れてしまいます。このバランスが重要なんです。


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 ◇◇◇ その8:「推しキャラ」にするための最終奥義 ◇◇◇


 ●〈応援したくなる理由〉を明確にする

 読者が「この子を応援したい!」と思うには、明確な〈理由〉が必要です。なんとなく「いい子だから」では弱いんです。


 応援したくなる理由の例──

 ・夢に向かって一生懸命頑張っているから

 ・辛い過去があるのに前向きだから

 ・周りのことを一番に考える優しさがあるから

 ・不器用だけど真っ直ぐだから


 読者が「この子の幸せを心から願いたい」と思えるような〈応援したくなる理由〉を作りましょう。


 ●〈成功と挫折〉のバランス

 推しキャラになるには〈成功と挫折〉のバランスが重要です。成功ばかりでは物足りないし、挫折ばかりでは見ていて辛くなります。


 理想的なバランス──

『小さな成功→大きな挫折→努力→中くらいの成功→また挫折→成長→大きな成功』


 読者は〈ジェットコースターのような感情の起伏〉を楽しみながら、キャラクターを応援し続けてくれます。


 ●〈読者との約束〉を守る

 最後に一番大切なのは〈読者との約束を守る〉ことです。


 読者との約束とは──

 ・このキャラクターは最後に幸せになる

 ・このキャラクターの成長を最後まで描く

 ・このキャラクターを途中で雑に扱わない

 ・このキャラクターの魅力を最大限に活かす


 読者がキャラクターを愛してくれるのは〈作者を信頼している〉からです。その信頼を裏切らず、最後まで大切に描き続けることが、愛されるキャラクターを作る最も重要なポイントなんです。


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 ◆◆◆ おわりに ─ あなたのキャラクターも愛される ◆◆◆


 長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 愛されるキャラクターを作ることができれば、読者から「このキャラクター大好きです!」というコメントがもらえること間違いなし。

 でも、一番嬉しいのは〈あなた自身がそのキャラクターを愛せる〉ことです。作者が愛していないキャラクターを、読者が愛してくれることはありません。


 今日からできること──

 ・キャラクターに魅力的な欠点を一つ加える

 ・そのキャラクターの「願い」と「恐れ」を明確にする

 ・印象的な仕草や口調を考える

 ・そのキャラクターの秘密を一つ作る

 ・なぜ読者がそのキャラクターを応援したくなるのか考える


 小さな変化からで大丈夫です。きっと読者は気づいてくれます。「あ、このキャラクター前よりも魅力的になった」って。

 あなたの作るキャラクターが、一人でも多くの読者の「推し」になりますように。そして、あなた自身がそのキャラクターを心から愛せますように。

 素敵なキャラクターとの出会いを、楽しみにしています!




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100万人に愛されるキャラクター作成術 〜読者が「推し」になってくれる魅力的な人物の作り方〜 松田裕介 @7060maisonX

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