雨だれ

「カクヨム甲子園2025」へのご応募ありがとうございます。
そして、中間選考通過おめでとうございます。

雨が降る日は悪いことばかりだけでなく、良い景色を見せてくれることもあるという二面性がとても素敵でした。心温まるストーリーで少女の過去が気になりました。

これからも創作活動を楽しみながら、素敵な作品を書き続けてください。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（633文字）

とても濃密で完成度が高い掌編だと感じました。

音楽用語と気象の描写を巧みに織り交ぜて、雨の日の心象風景を深く掘り下げているあたり、素敵だと思いました。

バスの中での倦怠感や、押せない降車ボタンに象徴される幼少期との断絶、置き忘れた傘といった小さな出来事を積み重ねて、読者に「現実の重み」と「夢幻の境界」を意識させる手法は、本当にお見事、としか言えません。

喫茶店での出会いから漂う不思議な温度差も魅力的です。

安心感を与えるはずの場所なのに、どこか現実から切り離された異空間のように(おそらく敢えて)描き、
「喫茶店じゃない」という言葉を提示させ、これまでの温もりを一変させる強烈な転調とさ…続きを読む