娘さん

小さな手 小さな瘡

娘さん

まーその、背筋がゾッというかソワッとした話ですけど。


数ヶ月前に朝起き上がろうとしたらぎっくり腰になって通院してたんです。

その病院の待合室で診察を待ってるとですね。


診察室に入って行く高齢の婆さんと一緒に、

白無垢姿の女性が後ろからつっつっつーと付いてきてたんですよ。


そんなん病院来たらすぐに変なのがわかる装いというか、見た目じゃないですか。

ただね、あれは診察室に患者が入って行く瞬間まで現れないんですよ。

顔もよく分からん。

診察室から出てくる時は婆さん1人でしたがね。


その時からでしたね。

通院してると何回か見ました。

診察待ちをしてると霧のように出てきて、患者と入り、そして患者だけ出てくる。

誰かに言えたもんじゃないさそんなの。

「あそこにちょろちょろした霊がおる」なんて言ったら、俺の頭ん中がちょろちょろしてんじゃないかって疑われてしまう。


まあいろいろあって腰も治ってきて、完治気味でしたが念のため最後に診察を受けに行きました。

あれー、今日は見ないなーと思って。

自分にケガとか病気とかが降りかかった時に見れるってことだったんだなーとか思いながら「〇〇さんどうぞー」って聞こえたんでそのまま入って、診察室の扉を閉める瞬間、その隙間に真っ白な顔がばっと現れたんですよ。


目は落ち窪んで眼球があったかどうかも怪しい影の濃ゆさで、下顎がありませんでした。

上の歯並びが不思議なほど揃っていたんで、笑っているようにも見えはしました。

今も覚えてますよ。あの顔。


血の気が引きながらそこで盛大にコケまして、腰がやられて1週間期間が増えたって話です笑。

後で(脳の方を心配されるのを)覚悟して担当医師に聞いたんです。

「初代医院長の娘さんですねえ」とか言うじゃないですか。そこも恐ろしかったです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

娘さん 小さな手 小さな瘡 @A_heart_arrhythmia

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ