ねえ、誰か。

はるむら さき


ねえ、誰か。助けてください。お願いします。まだ、生きていて欲しいんです。

十年なんて言いません。三年だなんて欲張りません。

たった一年でいいんです。

「私は父が亡くなった年に死ぬのだわ」と、長い年月、自分を自分で呪い呪って。

楽しいことも、嬉しいことも、その全てを否定して。

「あの時こうしていれば、きっと幸せになれたのに」と自らを不幸に陥れ、今やどす黒い呪いの塊と化してしまった彼女の心。

その心に、たった一筋でいいから光が差すように。

せめて最後は「まあまあ、良い人生だった」と笑えるように。

彼女が自分の歩んだ人生さえも間違いだったと否定して、世界を憎んで、後悔と絶望に呑み込まれたまま目を閉じることのないように。

どうか一年、彼女に時間をくださいませんか。

ねえ、誰か。


神様には頼みません。

神様は恐ろしく平等で。

何度、願ってもこの願いを叶えては下さらなかったから。






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ねえ、誰か。 はるむら さき @haru61a39

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