「きみでもきみの霊でもない」という、ミステリアスなタイトルに惹かれました。光と影のバランス感覚が優れていて、作品全体に不思議な透明感があります。後半では、恋の歌が出てくるのですが、どうやら成就しない恋のようで、悲しみと切なさが滲み出てくるのを感じました。イメージの展開の巧みな口語短歌集です。推し短歌1首。光だと安易に決めたものすべてへと蝶が、それ以外に灰が
「ヘルプマーク」に目がいく瞬間や、「閉」を長押しする帰路など、普段の生活の中で感じる孤独や疎外感を暗示している。しかし、その中に「焼きたての香り」や「恋を続ける」といった一瞬の温かさや希望が共存し、深い切なさが滲み出ている。
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