第10話「島の秘密」
重々しい扉をくぐった瞬間――
まばゆい光が三人と二匹を包みこんだ。
次の瞬間、そこに広がっていたのは、これまでの島の景色とはまるで違う世界だった。
空は夕焼けのように赤く染まり、広大な湖が鏡のようにきらめいている。
湖の中央には、宙に浮かぶ巨大な水晶――島そのものを見守る「心臓」のような存在があった。
「わぁ……!」
ミミが思わず声をあげる。
ポコは羽ばたきながら湖面をのぞきこむ。
「この湖……空を映してるみたいだ」
ググは小さく鼻をひくひくさせる。
「なんだか、ふしぎな匂いがする……」
そのとき。
水晶の奥から柔らかな声が響いてきた。
《ようこそ、選ばれし者たち》
リクたちは思わず顔を見合わせる。
声は続けた。
《この島は、人の心を映す“試練の島”。
恐れ、迷い、希望――おまえたちが通ってきたすべての道は、心の力を試すためのものだった》
カイが目を見開き、低くつぶやく。
「つまり……島そのものが、僕たちを試していたんだ」
《その通り》
湖の水面が波打ち、そこにこれまで挑んできた光の庭や闇の回廊、数々の試練の映像が浮かび上がった。
《おまえたちは互いを信じ、助け合い、知恵を尽くした。
だからこそ、この島の秘密に触れる資格を得たのだ》
ミミが胸を張る。
「じゃあ……ここまで来られたのは、みんながいたからだね!」
リクは仲間を見回し、静かにうなずいた。
「うん。ぼくだけじゃ絶対に無理だった。みんなで力を合わせたから、ここまで来られたんだ」
その言葉に、ポコもググも顔をほころばせた。
すると水晶がさらに強く輝き、最後の言葉を告げた。
《この島の秘密は――“心をひとつにすれば、どんな困難も乗り越えられる”という真理。
それを胸に刻み、再び外の世界へ旅立つがよい》
次の瞬間、湖全体が光に包まれた。
三人と二匹はふわりと宙に浮かび、体の中にあたたかい力が満ちていくのを感じた。
「これが……島の答え……!」
リクの瞳が輝く。
やがて光はやさしく収まり、仲間たちは静かに大地へと降り立った。
湖の中央にあった水晶は消え、ただ静かな水面だけが残っている。
「行こう、みんな」
リクは仲間の方を向き、力強く言った。
「ぼくらの冒険は、ここからまた始まるんだ」
三人と二匹は並んで歩き出した。
夕焼けに染まる湖を背に、ちびっこたんけんたいの物語は――新たな一歩を踏み出したのだった。
ちびっこたんけんたい 霜月あかり @shimozuki_akari1121
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