金と自由
白川津 中々
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心がとにかく落ち着かないのだ。
仕事も私生活も、何をするにも不安で仕方がなく、この先真っ当に生きていける気がしないのである。一切合切全て捨て去って凍える場所へ行き、酒ばかりを買って飲んで暮らして、それでそのまま永眠できたらと思わないでもないが結局行動には移せず、決められたルーティンの中で不安と共に過ごすしかない。金があればと、一人毒を吐く。
金。
結局、経済の潤沢こそが自由なのだ。不自由に汚染されると人は悲観し正気を失う。陶酔、依存、暴力、いずれかのみに自らを見出し破綻する。貧困の毒である。これによって常惑い、明日を恐れる。今ある僅かな自由が失われるのではないかと鬼胎に陥るのだ。
雨風を凌げる家と三食。それにしがみつき、生きていくために生きていると、心が騒つく。どうして生きなければならないだろうと疑問を持ちながらも不安とともに生きている今を、果たして自由と呼べるのか。明日の行方も分からぬままに、今日を、過ごす。
金と自由 白川津 中々 @taka1212384
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