pale orange spider
キカイ工
pale orange spider
帰宅すると玄関に、同じ形、同じサイズの赤いヒールが四足分、ずらりと一列に並んでいた。首を傾げつつ寝室に入るとベッドに肌色の蜘蛛が腰かけている。大きさは人ほどで張り出した下腹部が妙に艶かしい。控え目な胸部の膨らみが妻を思い出させた。
さて、どうしたものだろうか。蜘蛛を殺すのは不吉かどうか相談したかったが妻は不在のようだ。
もしや妻だろうか。
どうにも決めかねて、一先ず服を着替えることにした。その様子を蜘蛛はじっと見つめている。大きな八つの瞳全てに下着姿の僕が映っていた。
着替えを済ませ部屋を出るとついてきた。
仕方なく夕食を作り始めた僕を天井から蜘蛛が眺めている。夕食は二人分用意した。出来上がった料理をテーブルに並べると迷った末に蜘蛛女に天井から降りて椅子に座るよう勧めた。
彼女はよく食べ、よく笑い、僕はなんだか嬉しくなった。
一緒に風呂に入ると女は薄紅色に肌を染めた。湯船の中で八本の手足が僕の体をまさぐるに任せ、揺れる水面をぼんやりと眺めていた。
さて、早いけどもう寝ようか、と蜘蛛を寝室に誘うと妻から「帰る」と連絡があった。
ああ、やはり殺した方が良さそうだ。
でも、どちらを?
pale orange spider キカイ工 @kikaikou1
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