終末戦争、✕ 日前。

2058年、世界は戦火に呑まれた。

空は黒煙に覆われ、地は瓦礫と枯れた木々で埋め尽くされ、海は澱み、魚がぷかぷかと浮かんだ。

数億、数十億の命が、わずか数ヶ月で塵芥のように消え去ったのだ。

この地を作った神はその結末を幾度も見届けてきた。どれほど歴史を巻き戻しても、必ずこの終末戦争が訪れ、人間同士で争い、絶滅に至った。そして終末戦争によってもたらされた、破壊は地球をも破滅に導いた。神は、そんな状況を見過ごせず、人の姿になって、戦争を回避するための方法を模索することにした。

愛する者を生かしたいという願い、憎き人間を葬りたいという願い、そのすべてを叶えていった。
しかし願いの果てに待つのはさらなる破滅だった。

人間を救おうとするその行為そのものが、皮肉にも終末を加速させていく。
これ…続きを読む