おまけの没

 暑すぎてクラクラする。

 やっと見つけた自動販売機。

 脱水症状で震える手で、

 硬貨を投入する。

 青いラベルのペットボトル飲料の、

 ボタンを押す。

 ガコンという音、

 投入口から、商品を取り出す。

 開かない。

 くそ、汗で滑ってやがる。

 汗を服で拭ってみても、

 どうしても滑る。

 何か乾かすもの、

 摩擦力を高めるものでもいい。

 あった、

 砂だ。

 私は砂で手を拭いて、

 ペットボトルの蓋を、

 思い切り、

 ひねる。

 ボフ、

 と音がした。

 ペットボトルは爆発して、

 砂まじりの熱波を顔に浴びた。

 辺り一面には、砂が舞って、

 それが、地面へと、降り積もる。

 

 それは妄想の空気。

 蜃気楼。

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あの青い空を、あの青い空気を、 さわみずのあん @sawamizunoann

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