落下死体

Kei

落下死体


晴天のオフィス街。

突然、雨が降ってきた。

冷たく硬い、ガラスの雨だった。



—なんだ!?


 —…痛!


  —危ないッ



下にいた人たちはちりじりに逃げていった。

ガラスがコンクリートに叩きつけられ、粉々になり、煌めく。

あたりがシンと静まり返った。


それから—



人が落ちてきた。


跳ね返ることもなく、受けきった衝撃で波打ち、体はばらばらになった。



* * * * *



―彼、いきなり窓に体当たりして落ちていったんです…



「…だそうです。同僚によると」


「もっと上から落ちたんだろ」


「? 先輩、最上階のオフィスです」


「ガラスが先に落ちてきたんだろ?」


「! …」


「人を集めて、ビル脇の植え込みを探すんだ」


「え、じゃあ、この人は一体どこから…」


「さあな… どこかから、だ。 第一、“彼女”だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

落下死体 Kei @Keitlyn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

立入禁死

★0 ホラー 完結済 1話