第2話 暑い暑いダブル高気圧デート日和
翌朝、七時頃。
シュワシュワシュワシュワシュワシュワ……♪
この時期はいつものことだが、外からクマゼミの鳴き声がうるさく響き渡る。
「おはよう晴雪お兄ちゃん、明石は本当に朝から暑いね。早朝の気温は柏原の負けだよ」
「おはよう晴雪くん、今日の明石の最低気温、27℃台だったから余裕で熱帯夜ね」
「おはよう。夢じゃ、なかったんだね。昨日の出来事は」
丹波ちゃんと絹衣ちゃんが呼びかける声で目を覚ました晴雪は苦笑い。
二人とも彼の両隣で抱き着くような形になっていた。
「いつの間に、また俺の隣に?」
「だって、晴雪お兄ちゃんのそばの方が寝心地がいいんだもん」
「それはね、晴雪くんのお隣の方が、富岡製糸場の繭に包まれてる蚕みたいな感じで快適な睡眠がとれそうだったからよ。実際気持ちよく眠れたわ。蛹から脱皮するみたいに服を全部脱いで寝たらもっと気持ちよかったかも」
「それは、いろいろとまずいから、やめた方がいいと思う」
※
ともあれ晴雪達は、十時頃に家を出発。
「今日は晴雪お兄ちゃんとひと夏の暑い思い出を作っちゃお♪」
「晴雪くん、私のバイクに乗せてあげるよ」
「いや、やめとくよ」
晴雪は照れくさそうに言う。
「ふふ、予想通りの反応ね。じゃあ私も徒歩にするわ」
絹衣ちゃんは嬉しそうに微笑む。
「それじゃあ行こう、晴雪お兄ちゃん♪」
「うっ、うん。今日は晴れてよかったね。めっちゃ暑くなりそうだけど」
「明石でも35℃予想だったし、暑い暑いデート日和になりそうね」
三人は、近場にある大型ショッピングモールまでやって来た。
「丹波ちゃん、迷子にならないようにお手々繋いであげるよ」
「絹衣お姉ちゃん、あたしそこまでちっちゃなお子様じゃないよぉ~。中学生だよ」
丹波ちゃんと絹衣ちゃん、本当に姉妹のようだ。
冷房の効いた館内に入ると、
「それじゃまずは、レディースファッションコーナーに行くわよ」
「かわいいお洋服欲しいな」
「あの、二人とも。服装自在に変えれる設定だから、買う必要なくない?」
「リアル世界の服を見るのも楽しそうだからね」
「あたしもリアル世界のお洋服も見てみたい。晴雪お兄ちゃん、早く行こう!」
「わっ、分かった」
晴雪はエスカレーター利用で三階レディースファッションコーナーの一角へ連れて行かれる。
「あの、俺、本屋さんで待ってるから」
晴雪は商品棚から眼を背けようとする。
ここは男には非常に居辛い下着類の売り場なのだ。
「晴雪くん、すぐに選び終わるからここで待っててね」
「この恐竜さんのパンツ、かわいい! 小学生向けっぽいけど、サイズ合いそうだからこれ買っちゃおっと♪」
丹波ちゃんは他にも月やお星様柄のショーツも物色する。
早く、別の所へ行きたい。
晴雪は大変居た堪れない気分になっていた。
早く、選んで。絹衣ちゃん。
晴雪は続いてブラジャー売り場に連れて行かれ、先ほどよりも居辛く感じていた。
「ねえ晴雪くん、どの色がいいと思う?」
絹衣は晴雪をからかおうとしているのか、にやけ顔で白の他、紫や黒といった派手でアダルティーな色のブラジャーも見せつけて相談してくる。
「白か、ピンクでいいよ。絹衣ちゃんに、そんな派手なのは似合わないから」
晴雪がブラジャーから目を逸らしながら即答すると、
「じゃあ私、これにするわ。選んでくれてありがとう」
絹衣は雪のように真っ白なブラジャーを籠に詰めた。
「それじゃ、早く、ここから出よう」
「晴雪くんのパンツも買ってあげるよ。トランクスかブリーフ、どっちがいい?」
「べつに、いらないよ」
晴雪はちょっぴり照れくさそうに答えたが、
「いいから、いいから。キャラデザしてくれたお礼がしたいし」
半ば強引に同じフロアにあるメンズファッションコーナーへと連れて行かれてしまった。
「絹衣ちゃん、俺、これで」
晴雪は迷うことなく自ら柄を選んだ。絹衣に自分用のトランクスを選んでもらうのは非常に恥ずかしいと感じたようだ。
「晴雪くん、このズボンも穿いてみて」
絹衣は青色の半ズボンを差し出した。
「やめとくよ。半ズボンって、小学生みたいだし」
「まあまあ、そう言わずに。試着室あそこにあるよ」
「じゃっ、じゃあ、着てくるね」
晴雪は半ズボンを受け取ると気まずそうに試着室へ入り、シャッとカーテンを閉めた。
それから三〇秒ほどのち、晴雪は再び絹衣の前に姿を現す。
「晴雪くん、よく似合ってるわ」
「どっ、どうも」
「この服も晴雪くんにも似合いそうだから、二つ買っておくね」
絹衣はティーンズファッションコーナーにあった、可愛らしいひまわりのお花の刺繍がなされた夏用セーターも手に取って、晴雪の目の前にかざして来た。
「絹衣ちゃん、それ、女の子向きでしょ。俺が着るのは絶対変だよ」
「晴雪くん、ジェンダーの固定概念を持ち過ぎるのは良くないわよ。それに、この柄だと男の子が着ても変じゃないと思うなあ」
晴雪は嫌がるも、絹衣はその商品をレジへ持っていってしまった。
俺は、そんなの絶対着ないからね。
その間に、晴雪は試着したズボンから今日着て来た長ズボンに履き替え、試着した半ズボンを商品棚に戻しておいた。
女の子とお買い物するのは、楽しいことは楽しいんだけど、本当にくたびれるよ。
晴雪の今の心境だ。
ここをあとにした三人が次に向かった先は、二階の大型書店。
「丹波ちゃんは、恐竜の本が好きなのかな?」
「うん、それも大好きだけど、理科年表とか、天文雑誌とかが一番好き♪」
晴雪が問いかけると、丹波ちゃんは満面の笑みを浮かべてそう答えた。
「私もそれ系統と、バイク雑誌が好きよ」
「そっか。俺のキャラ設定どおりだね」
「晴雪くんの今の将来の夢は何かな?」
「うーん……今は特にないなぁ」
「晴雪くんは理科の先生とかも似合いそう」
「そうかな?」
「うん、とても真面目な子だし。絶対似合うわ」
絹衣はにこやかな表情で見つめてくる。
「そっ、そういえば、もう、十一時半過ぎてるんだね。そろそろお昼ごはんにしない?」
気まずくなった晴雪は視線を逸らし、館内の時計を眺めながら提案した。
「そうね。正午過ぎになると込んでくると思うし、私、お腹空いて来ちゃった。ここで食べましょう」
絹衣は店内パンフレットの案内図を指差す。
「もちろんいいよ」
晴雪は快くオーケイした。
モール内のファミレスで昼食をとることに。
「三名様ですね。こちらへどうぞ」
お目当てのファミレスに入ると、ウェイトレスに四人掛けテーブル席へと案内された。
丹波ちゃんと絹衣ちゃんが晴雪と向かい合うようにして座ると、絹衣ちゃんがメニュー表を手に取ってテーブル上に広げる。
「おっきりこみも、いせさきもんじゃも、焼きまんじゅうも、神社コロッケも、やはりないみたいね」
「あたし、水餃子にしよっと。餃子といえば、浜松とかいう雑魚もかつて最高気温日本一だったね」
丹波ちゃんは得意げに呟く。
「維持してた期間は、柏原より浜松の方がずっと長かったけどね」
絹衣ちゃんが微笑みながら突っ込むと、
「むぅ!」
丹波ちゃんは不機嫌そうな表情へ。
そこがまた可愛らしいのだ。
「私は、せっかくだし明石名物の玉子焼にしようかしら」
「俺は坦坦麺と麻婆豆腐にしよう」
「晴雪くん辛い物選ぶのね」
「美味そうだからな」
「あたし、丹波篠山産の栗を使ったモンブランも食べるぅ♪」
「あの、今回は俺が奢るよ」
「私が奢ろうと思ったんだけど、ありがとう」
「まあ、どうせ母さんの金だし」
晴雪がコードレスチャイムを押してウェイトレスを呼び、メニューを注文する。
それから五分ほどして、
「お待たせしました。水餃子と玉子焼とモンブランと、坦坦麺と麻婆豆腐でございます。ではごゆっくりどうぞ」
三人の分が同時にご到着。
こうして三人のランチタイムが始まる。
「浜松には勝ってるからね♪」
丹波ちゃんは上機嫌で水餃子をレンゲで掬い、ハムッと齧り付く。
「美味しい♪」
その瞬間、とっても幸せそうな表情へと変わった。
丹波ちゃん、幼稚園児みたいだな。
晴雪は坦坦麺を啜りながら、微笑ましく眺める。
「晴雪くん、お口直しに私のも少しあげる。はい、あーん」
絹衣ちゃんは玉子焼の一つをスプーンで掬い、晴雪の口元へ近づけた。
「いや、いいよ」
晴雪は左手を振りかざし、拒否した。晴雪はお顔を唐辛子のように赤くさせ、照れ隠しをするように麺を勢いよくすすった。
「晴雪くん、かわいいわ♪」
「……」
「ねえ晴雪くん、このあとは映画見に行こうよ」
「映画かぁ……べつに、いいけど」
絹衣ちゃんからの突然の提案に、晴雪はちょっぴり戸惑いつつも引き受けた。
三人は併設するシネコンへと向かっていったのだった。
「夏休みだし、いっぱい上映されてるわね。どれ見ようかな。あっ、あれなんか良さそう。四国地方のある場所について」
「ホラー映画は嫌ぁ。あたしはこっちの方がいい!」
丹波ちゃんはいくつかあるポスターのうち対象のものに近寄る。
「えっ! あれを見るの?」
晴雪は動揺した。
「晴雪お兄ちゃん、かわいい女の子がいっぱい出て来るアニメ好きでしょ?」
「確かに好きだけど、こういう、子ども向けのじゃなくて……」
「私も大好きよ。これ見ましょう」
絹衣ちゃんは満面の笑みを浮かべ、弾んだ気分で打ち明ける。それは女児向け魔法もありのファンタジーギャグアニメだった。
チケット売り場にて入場料金を支払うと、受付の人がチケットと共に入場者全員についてくる、キラキラして可愛らしいおもちゃのペンダントをプレゼントしてくれた。
「丹波ちゃん、これあげるね」
「ありがとう♪」
晴雪は速攻丹波ちゃんに手渡した。丹波ちゃんが受け取ったものとは種類違いだった。
三人はお目当ての映画が上映される4番スクリーンへ。薄暗い中を前へ前へと進んでいく。
「なんか周り、幼い子ばっかりだから、やっぱりやめた方が……」
「まあまあ晴雪くん、気にしなくてもいいじゃない。さっき私と晴雪くんより年上の大学生っぽいカップルも入っていったことだし。たまには童心に帰りましょ」
晴雪は絹衣ちゃんに右手をぐいぐい引っ張られていく。前から五列目の席で、晴雪は絹衣ちゃんと丹波ちゃんに挟まれる形で座った。座席指定なのでそうなってしまった。
視線を感じるような……。
晴雪はかなり落ち着かない様子だった。他に四十名ほどいた客の、七割くらいは就学前だろう女の子とその保護者だったからだ。
※
「しゃべる野菜や果物やお菓子さんもすごくかわいかったわ」
「とっても面白かった♪ 晴雪お兄ちゃんもそう思うでしょ?」
上映時間一時間ちょっとの映画を見終えて、絹衣ちゃんは大満足な様子で劇場内から出て来た。
「まあ、思ったよりは……俺の好きな声優さんも出てたし。子どもの騒ぎ声がうるさかったけど」
「晴雪くんも昔はあんな感じだったんじゃないの?」
「そうだったかな? 覚えてないなぁ」
「子ども向けアニメって、中学生になった今観ても面白く感じれるよ。あのっ、晴雪お兄ちゃん、次はいっしょにプリクラ取ろう」
「いいけど。プリクラかぁ……」
絹衣ちゃんからの誘いに晴雪は乗り気ではなかったが、手を引かれ無理やりゲーセンコーナーへ連れて行かれる。プリクラ専用機内に足を踏み入れると隣り合って並ぶ。
「一回五百円か」
晴雪が気前よくお金を出してあげた。
「あたし、このイノシシさんと写れるやつがいいな」
丹波ちゃんに好きなフレームを選ばせてあげる。
*
撮影&落書き完了後。
「きれいに撮れてるわ」
取出口から出て来た十六分割プリクラをじっと眺め感心する絹衣ちゃん。自分が見たあと晴雪にも見せてあげた。
「絹衣ちゃん、俺の顔に落書きし過ぎだよ」
晴雪は苦笑いだ。けれどもちょっぴり嬉しくも思った。
「ごめんね晴雪くん、ついつい遊びたくなって」
絹衣ちゃんはてへっと笑う。
「あたし、次はこれがやりたいな」
丹波ちゃんはプリクラ専用機向かいの筐体に近寄る。
「丹波ちゃん、動物のぬいぐるみが欲しいんだね」
「うん!」
晴雪からの問いかけに、丹波ちゃんは弾んだ気分で答える。彼女がやりたがっていたのはクレーンゲームだ。
「あっ、あのティタノサウルスさんのぬいぐるみとってもかわいい! お部屋に飾りたいなぁ♪」
お気に入りのものを見つけると、透明ケースに手のひらを張り付けて叫ぶ。
丹波市のご当地キャラや発掘された丹波竜の化石と同じ恐竜をモデルにしていることもあってか、虜になったようだ。
「丹波ちゃん、あれは隅の方にあるし、他のぬいぐるみの間に少し埋もれてるから、難易度は相当高いよ」
「大丈夫!」
晴雪のアドバイスに対し、丹波ちゃんはきりっとした表情で自信満々に答えた。コイン投入口にメダル硬貨を入れ、押しボタンに両手を添える。
「丹波ちゃん、頑張って! 落ち着いてやれば、きっと取れるよ」
晴雪はすぐ後ろ側で応援する。
「あたし、絶対取るよーっ!」
丹波ちゃんは慎重にボタンを操作してクレーンを動かし、お目当てのぬいぐるみの真上まで持っていくことが出来た。続いてクレーンを下げて、アームを広げる操作。
「あの鳩のぬいぐるみが邪魔ぁ。鳩山思い出しちゃうから目障りだよ。あっ! 失敗しちゃった。もう一度」
お目当てのぬいぐるみがアームの左側に触れたものの、つかみ上げることは出来なかった。再度クレーンを下げようとしたところ、制限時間いっぱいとなってしまった。クレーンは自動的に最初の位置へと戻っていく。
「もう一回やるっ!」
丹波ちゃんはとっても悔しがる。お金を入れて、再チャレンジ。しかし今回も失敗。
「今度こそ絶対とるよ!」
この作業をさらに繰り返す。丹波ちゃんは一度や二度の失敗じゃへこたれない頑張り屋さん
らしい。
けれども回を得るごとに、
「全然取れなぁい……難し過ぎる」
徐々に泣き出しそうな表情へ変わって来た。
「俺も、あれはちょっと無理かな」
晴雪が困った表情で呟いた直後、
「晴雪お兄ちゃん、取ってぇ~。お願い!」
「……わっ、分かった」
丹波ちゃんにうるうるした瞳で見つめられ、晴雪のやる気が少し高まった。
「ありがとう、晴雪お兄ちゃん。心も温帯気候だね」
するとたちまち丹波ちゃんのお顔に、笑みがこぼれた。
「晴雪くん、心優しい男の子ね」
その様子を、絹衣ちゃんも楽しそうに眺めていた。
まずい、全く取れる気がしないよ。
晴雪の一回目、丹波ちゃんお目当てのぬいぐるみがアームにすら触れず失敗。
「晴雪お兄ちゃんなら、絶対取れるはずだよ」
背後から丹波ちゃんに、期待の眼差しで見つめられる。
よぉし、やってやるぞ。
それを糧に晴雪は精神を研ぎ澄ませ、再び挑戦する。
しかしまた失敗してしまった。アームには触れたものの。
けれども晴雪はめげない。
「晴雪お兄ちゃん、頑張って。さっきよりは惜しいところまでいったよ」
丹波ちゃんからエールが送られ、
「任せて。次こそは取るから」
晴雪はさらにやる気が上がった。
三度目の挑戦後。
「……まさか、本当にこんなにあっさりいけるとは思わなかった」
取出口に、ポトリと落ちたティタノサウルスのぬいぐるみ。
晴雪は、丹波ちゃんお目当ての景品をゲットすることが出来た。ついにやり遂げたのだ。
「やったぁ!」
丹波ちゃんは満面の笑みを浮かべて大喜びし、バンザーイのポーズを取った。
「たまたま取れただけだよ。先に丹波ちゃんが、少しだけ取り易いところに動かしてくれたおかげだよ。はい、丹波ちゃん」
晴雪は照れくさそうに語り、丹波ちゃんに手渡す。
「ありがとう、晴雪お兄ちゃん。ティーたん、こんにちは」
丹波ちゃんはさっそくお名前をつけた。受け取った時の彼女の瞳は、ステンドグラスのようにキラキラ光り輝いていた。このぬいぐるみを抱きしめて、頬ずりをし始める。
「私、晴雪くんはやれば出来る子だと思ってたわよ」
絹衣ちゃんも大きく拍手した。
※
「晴雪くん、私、今日のデートの締めくくりに、明石で有名な、あの場所に行きたいな」
「明石で有名なあの場所、魚の棚?」
「違う、違う。天文科学館のプラネタリウムよ」
絹衣ちゃんはそう言ってふふっと微笑む。
「あたしもプラネタリウム見たぁい。ちなみに丹波市にも明石ほど有名じゃないけど星の館にプラネタリウムがあるよ」
そんなわけで、三人でその場所へ。
晴雪は丹波ちゃんと絹衣ちゃんに挟まれるような形で座り、観賞することに。
スクリーンに映し出された美しい星々に、
「すっごぉーい!」
興奮気味な丹波ちゃん、
「とってもきれいね」
「……」
絹衣ちゃんは、ちゃっかり手を握って来て、晴雪の心拍数は急上昇。
※
「晴雪くん、今日は付き合ってくれてありがとう♪」
「いや、こっちこそ」
「晴雪お兄ちゃん、今日のダブル高気圧デートは楽しかった?」
「うん。けっこう、楽しかったよ」
「晴雪くん、とっても幸せそうね」
「晴雪お兄ちゃん、あたしもとっても幸せだよ♪」
「私もよ」
そう言うと丹波ちゃんと絹衣ちゃんは、
チュッ♪
と両サイドからキスして来た。
「……」
晴雪、予想外の出来事だったのか、頬がほんのり赤くなる。
「私もより一層暑くなって来ちゃった♪」
「あたしもー」
絹衣ちゃんと丹波ちゃんの頬っぺたも、ほんのり赤くなっていた。
蒸し暑い夕方、美しい夕日に照らされながら、三人は自宅へと帰っていくのだった。
ご当地擬人化自作キャラ達の三次元化によって、自室の環境が大変動した晴雪。ともあれ、この子達と過ごす癒しのひとときはこれからも続きそうだ。
暑さ日本一の街の座を巡る争いは群雄割拠。
特に過去に39℃台以上を観測した場所なら、もはやどこがなってもおかしくはない。
2025年夏終了時点で頭一つ抜けているように思える伊勢崎といえども、その地位は安泰ではないのだ。
ダブル高気圧にフェーンの力も加われば、天気や風向きなど条件次第で今までの最高気温記録を大幅に更新することもあるのである。
実際、柏原も41.2℃を出すまでは、39.2℃が最高だった。
次に暑さ日本一の座に輝くのは、あなたの住む街かもしれません。
「次の夏は42℃台出してやるからねっ!」
丹波ちゃんはそう宣言するのであった。
(おしまい)
暑過ぎる夏休み、俺の描いたVtuber風擬人化イラストの女の子達が飛び出して来て俺とダブル高気圧な暑いデートすることになったんだけど 明石竜 @Akashiryu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます