俺の名前は町野緋色

クライングフリーマン

俺の名前は町野緋色

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 俺の名前は、町野緋色。

 俺が生まれて、出生届を出す時、オヤジが酔っ払っていたのだ。

 おふくろも親類も怒り狂った。

 オヤジは偏屈な所がある。

「そんなに言わなくても、未来が名前だけで決まる訳がない。イジメなんて決めつけだろう。」


 俺はイジメられれた。

 おふくろは、俺がいじめられて帰った時、役所に行った。

 改名の手続きでなく、離婚届だった。

 伯母は、付き添って行った。


 俺は決心した。ヒーローになってやるさ。

 夏休み。溺れかけている小学生を助けた。

 警察から、何か紙切れを貰った。

 何故か、名前は『町野ひいろ君』になっていた。

 どうせならカタカナにしろよー。


 中学から高校に進んだ。

 似た様な名前の人間がいるものだ。

 名前は町村英雄。

「名前負けしてるって、よく言われるんだよなー。」

 俺達は親友になった。


 夏休み前、転校生が入ってきた。

 名前は、町谷立志(たてし)。

 俺達は3人組になった。


 大学生になって、ある山の河原にキャンプに行った。

 お決まりの飯盒炊さん、バーベキュー。

 そして、テント。雲行きが怪しいな、とは思っていた。

 テントに浸水してきた。


 慌てて、キャンピングカーに退散。


 翌日午後。俺達は救助された。

 キャンピングカーは、立志がレンタルしたものだった。

 レンタカー屋が、警察に届けを出してくれたのだ。


 新聞に記事が出た。『ヒーロー達の遭難』。

 3人の親はカンカンになり、卒業まで帰省は許されなかった。


 社会人になってから、この頃のことを言うと、女子社員はゲラゲラ笑った。

 気に入った子にデートに誘った時に言われた。

「またまたー。私、『遭難』したくないから。お金持ちでないなら、他を当たって。」


 3人は今でも仲良しだ。

 但し、戸籍上は、名前が違う。改名したのだ。

 もう、『名前負け』しない。太郎、二郎、三郎だから。


 ―完―

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俺の名前は町野緋色 クライングフリーマン @dansan01

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