【感謝と謝罪】感謝できない人はなぜ攻撃的になるのか?

晋子(しんこ)@思想家・哲学者

世の中には感謝すべき時にストレスを感じて、逆に攻撃的になる人がいる

人に感謝できない者は、他人の善意に報いないどころか、しばしば攻撃的に振る舞う。普通の人間関係なら「ありがとう」で済む場面で、不機嫌になったり、冷たく突き放したり、時には皮肉を言ってくる人がいる。だがこれは単なる性格の問題ではない。感謝と謝罪の区別がついていないこと、そして「感謝=自分が負ける」という歪んだ認識が根底にある。そしてそのような態度は正当化されるべきではなく、明確に“悪”である。


感謝とは、相手の行為や存在に対して敬意と敬愛を込めて伝えるものだ。謝罪とは、自らの過失や不注意を認め、相手に詫びるものである。両者はまったく異なる概念であるにもかかわらず、感謝することを「自分が間違っていた」「劣っていた」と認識し、それに耐えられない人間は、まるで自分が謝罪しているかのような錯覚に陥る。だから感謝を避ける。そして避けるだけならまだしも、感謝すべき相手を攻撃する。まるで「感謝しなければならない状況を作ったお前が悪い」とでも言うように。


このような人間は、他人の善意を敵意に変換する。なぜなら、自分が誰かに感謝の念を抱いた瞬間、「自分が下になった」と被害妄想のように受け取るからだ。そんなことをされたらたまったものではない。善意で助けたはずの行為が、逆に相手の怒りや敵意を引き出すのだから。しかも彼らは、自分の中に生まれた感謝の感情すら許せない。「あんなやつに感謝するなんて、自分が負けたみたいだ」と思い、その怒りを他人にぶつける。そして最後には、「私に感謝の念を抱かせたお前が悪い」と解釈して相手を非難する始末だ。


だがそれは完全に筋違いである。感謝することに対して勝ち負けの構図を持ち込むのは、極めて稚拙な思考だ。感謝することは、決して自分が劣っている証明ではない。他者の善意を素直に受け取り、それに敬意を持つことは、人間として当然の態度であり、むしろその人の人間性の成熟を示す行為である。そこにマウントも屈服も存在しない。


にもかかわらず、「感謝は敗北」「感謝は支配されること」と思い込んでいる者たちは、感謝の言葉を吐く代わりに、威嚇・無視・皮肉・攻撃という行動に出る。そしてその行動に対して、「自分は傷つきたくないから」「昔、感謝を利用されたから」と言い訳を並べる。しかし、それらは言い訳であって、免罪符にはならない。他人の善意に対して攻撃を返すことは、ただの裏切りであり、悪意と呼ぶに値する行動である。


もしも感謝ができないという理由で、他人を傷つけるような人間がいたとすれば、その人は周囲の信頼を少しずつ失っていく。なぜなら人は、どれだけ些細なことであっても、自分の行為が認められず、報われず、攻撃されることには耐えられないからだ。「ありがとう」と言われるべき場面で何も返ってこないどころか、逆に文句や冷笑が返ってくるような人間に、次も手を差し伸べたいと思う人はいない。


このような「感謝できない者」に対して、同情は不要だ。感謝するという基本的な人間の礼儀すら守れない者に、精神的な配慮をしてやる必要などない。むしろ彼らは社会の潤滑油である「感謝」という文化を破壊する存在であり、正面から非難されるべきだ。感謝を拒むことで自分の立場を守ろうとするその態度こそが、自らを孤立に導いているという事実を突きつける必要がある。


善意を「借り」として恐れ、感謝を「敗北」として拒む者は、いつまでも他人を信頼できない。そんな人間に、真に豊かな人間関係など築けるはずがない。人と人とが支え合う社会の中で生きている以上、感謝することは避けては通れない基本的な営みである。にもかかわらず、それを拒み、攻撃に転じる人間がいるのならば、それは社会的な悪であり、矯正されるべきである。


感謝は義務ではない。だが、感謝しない自由を盾にして他人を攻撃する者には、その自由すら与える必要はない。感謝をしないことが「個性」ではなく、「反社会的態度」であるという認識がもっと広がるべきだ。私たちは、「ありがとう」と言える社会、「ありがとう」が素直に受け取られる関係性を壊す者に対して、毅然とした態度を取らなければならない。


感謝できないことは、恥である。そして感謝の代わりに攻撃することは、悪である。

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