なにかが起こりそうな雰囲気たっぷりの導入部。
その期待を裏切らず、主人公・桐人は古い寺で呪いを受けるのですが、その呪いがなんと、女子の胸を見てしまうと言うもの。
桐人はこの呪いのせいで変態との誹りを受けますが、この呪いを制御するために、「カメラアイ」と「周辺視野」という能力を手に入れます。
そしてこの能力で、剣道の才能を開花させ——。
こんな呪いですがいやらしさはなく、本人は女の子に興味がないため、読みやすくなっています。
次はどうなるのか、予測がつかず、続きを読むのが楽しみになる一作です!
第4章第4話までを読んでのレビューとなります。
第5章までのレビューです。
思春期の男子の特権ともいえる女子の胸へ吸い寄せられてしまう視線。主人公・桐人(きりひと)の目線も例にもれず、目の前の煩悩に人一倍強く作用してしまう。それは呪い『印』が原因とわかり、桐人はこれを克服すべく動体視力や視界制御の猛烈な鍛錬に励み、煩悩に抗い続けます。しかし、女子生徒からは相変わらず冷ややかな目で見られ、従妹でクラスメイトのユリからは変態扱いにされる始末。ミゼラブルな彼に同情したくなりますね。
高校二年生になり、視野鍛錬から俊敏性を獲得していく桐人の身のこなしを剣道名家の令嬢・大宮さくらに見出されます。そして彼はさくらの道場で剣の道を歩むことに。
しかし、そのさくらはナイスバディの美少女。目のやり場に困る桐人の視線はお約束の釘付け。ユリからは怒りの拳が飛んでくる、そんなドタバタな学園生活はコメディパートとしては成功しています。
しかし、この物語はここでは終わりません。その先が重要なのです。
桐人の剣才が開花――その異常ともいえる身体能力の向上に齎される覚醒の光。しかし、それには払うための「代償」が……
「視線の呪い」というコメディ要素が、実は壮大な物語の序章に過ぎない、まさに末広がりのスケール感。桐人の両親の死の真相、宿命の血筋、そして迫り来る新たな脅威の存在。
ユリやさくらも巻き込まれていくシリアスな展開も見逃せません。
桐人たちの成長を交えた青春物語から戻ることのできない戦の裾野へと――拡張していくダークファンタジーへのグラデーションが美しい。
コメディとシリアスの同居が絶妙なバランスで加速していく、そんな心躍る世界観をぜひご堪能ください。
コミカルな導入から一気に引き込まれる青春ダークファンタジーです。
「女子の胸に視線が吸い寄せられる」という一見おバカな……いえ、うらやまけしからん?呪いが、主人公・桐人の人生を大きく狂わせていく。理不尽きわまりない状況に翻弄されながらも、どうにか抗おうと工夫を重ねていく姿が、とにかくユニークで読んでいてクセになります。
さらに、魅力的なヒロイン陣が絡み合い、学園ラブコメ的な掛け合いと、シリアスなバトルシーンが絶妙にブレンドされています。
笑って赤面して、時に手に汗握る。テンポの良さと予想外の展開に、気づけばページをめくる手が止まりません。
唯一無二の「煩悩×バトルストーリー」ぜひ体験してみてください。
異様なほど光を放つ薬師如来像を見ていたら、桐人は「視線の呪縛」にかかってしまった。
薬師如来の十二神将に選ばれたものは、もともと持っていた煩悩が表に出てしまい、視線を逸らしても自然に目が胸へと向けられてしまうらしい。
(君の『素顔』ってどういうことだよ?)
真面目なときでも、桐人の目は勝手に胸に向かってしまう。
慌てて視線を元に戻すが、もう遅い。
動体視力と視野を鍛えて呪いを制御するが、桐人の中学時代は孤独なまま過ぎ去ってしまった。
事態が好転したのは、高校二年生になったときである。
息を呑むほどの美少女・大宮さくらがクラスに転入してきたのだ。
(揺れる……めちゃくちゃ揺れてる……!)
速攻でさくらにガン見がバレてしまうが、彼女は視線に慣れているらしい。
変な邂逅のおかげでさくらとの縁ができ、剣の道に進み、剣道の才能を開花させる。
だが、桐人たちは知らなかった。
東京では吸血鬼が暗躍していることに――。
笑えて赤面して、時々カッコいい!
青春オカルティックファンタジー、ここに開幕!!