射ゆ獣の心を痛み畏みぬ

余りにも衝撃的なタイトルにひかれて
読み始めると、これが大変巧緻な怪談話。
『類聚雑要抄』では「左獅子、於色
黄口開、右胡麻犬、於白不開口、
在角」とある、神社で見かける狛犬。

二柱で一組にて神の御社を守護するもの。
 即ち、神獣である。

古くは木製であったというが、その殆どは
石材で出来ている。つまり、ひき逃げなど
出来ようものではない。

 そう、出来ようものではないのだ。

この作品の恐ろしいのは、ラストの衝撃。
民俗学的なものを背景にした今風の輩話と
思っていると……。


  多くは語るまい。