『テンコ』ver.0.0_re
サウザンドピースkyrw
第1話
「……はっ……はっ……」
なんだ……
とあるとある場所でのとある時、少年が廊下を走る。
「はっ……、くっ」
なんでこんな……
何をそんなに急いでいるのか、少年は廊下を走る。
「……はっ!? ………はっ!?」
もう限界そうなのになぜか少年は走り続ける。
ドン……ドン……ドンドンドン!!
叩きつけるような音が響く中で、少年はより急いで走ろうとする。
果たしてなぜだろうか?
「なんなんだよあれは!!?」
わからないだろう、ここに来た人間には到底。
「なあ!?」
哀れな少年の前に、床から魚のようなものが出て来て歓迎する。さあおいで。
「ふざけんな!? こんな……!?」
ドン………ゴゴゴゴゴ!!
少年が止まった瞬間、音の主、強い強い鬼さんが床をたたいた。
たちまち床は少年を向かい入れるためにパラパラとめくれ上がっていく。
「く、うあ、ああ!!」
少年は何故か必死にめくれようとする床にまだ乗り続けようとする。
ブ゛ン゛!!
「!?」
そんな少年を強い鬼は高く持ち上げて空へ連れってくれた。
それを後押しするように天井も開き、壁も彼を守るために塗装が剥がれて高いバリアのようになる。
「やばい!? ……!?」
でも高い所が嫌そうな彼を強い鬼はその強い力で勢いよく飛ばして降ろしてくれます。
「がっ!!? ……うああああ!!?」
更に床のあった所からマジックハンドが、
背中についた消しゴムのジェットが、
この学校の重力が、彼をいち早く下にたどり着けるように加速させる。
「うおああ!!?」
ゴン!?
「ぐふあああああ!?
ゴン ゴン ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!!!
「ぐああうあぬああ、ぐ、ああ、ああーーああ!!!!?」
そのスピードはまるでジェットコースターのよう、強い鬼も何度も彼を叩いて加速させる。
「ああああああうああああくああああ!?あ!?ああああああうああああああああああ!!!!?
ぬああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーー!!!!?」
叫ぶ少年に向かって、魚のようなものが一斉に突撃する。
強い鬼が凄まじい速さで拳を繰り出し続ける。
そして………
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーー!!!!???」
少年は学校に向かい入れられた。
*****
「はっ……はっ……はっ……はは……まずい!!?」
息を切らしながら少年は走る。
制服を着ているので、学生だろう。
「くそ……なんでまたしても走らないと行けないんだ!?」
どうやら急いでいるようである。
何をそんなに慌てているのか。
「遅刻をこれ以上重ねてたまるか!!」
まあもちろん、学生といえば遅刻である。
今少年は遅刻ぎりぎりなのである。
そして走れば間に合うからこそ、今は全力で走っているのだ。
「あっ、すいませんボール……」
「邪魔だ!」
急いでいる少年はボールを無駄のない動きで打ち返したり、捕れそうな看板をすぐ直したりしながら走っていた。
瞬間的とはいえこれは多分間に合わんが……。
「くそ……なんでだ……もっと余裕なくなっている……!?」
他に気を取られて遅れているとは気がついていない。
キンコーンカーンコーン
「あ、いやまだだ!!」
鐘がなった、しかし少年は諦めなかった。
まだ点呼に間に合えばいいと考えていた。
一方その頃教室。
「1番、〇〇!」
鐘とともに点呼は始まっていた。
「2番」
「急げ…………」
学校が見えるところまで来た。因みに彼は13番だ。
「4番」
「急げ…………!!」
学校直前の信号前、赤はすぐに終わった。
「7番」
「よし、あと二つ…………!!」
校門前に辿り着いた、次は昇降口、だがその前に少し長い道。
「11番」
「もう少し!!」
昇降口に到着。下駄箱に入ってあとは靴を脱いで教室。
「12番○○! …………13番、千石真徒! …………いないな!! 今日も!!」
「誰だよ靴入れきれてないやつ!! くそ行くぞ!?」
といったところで、間に合わず。少年、
この
*****
「…………人がいない」
何を当たり前のことに違和感を感じているのか、真徒は不安にかられる。
真徒からすれば授業前だが、各学年各クラスでは当然朝礼も始まっているので、
学生も教師もいるわけない。
「…………なんだろうな、これ?」
ただ、本当に今日は、不安に駆られていた。知っているようで、知らない、
まるでそんな不安にかられる真徒、
すぐに自分が遅刻寸前(済み)なことを思い出し走る。
「よし、ドアを開いた瞬間に答えるぞぉ!!」
教室の前に立ち、気合を入れ、真徒は勢い良く戸を引き、
教室へダイブする!!
「はい、千石真徒!! …………で」
教室に入った瞬間、点呼されていると思って名を叫ぶ。
が、教室には誰もいなかった。
教師はおろか、生徒すら誰一人としていない。
「なんでだ? 移動教室ですらないだろ今日…………」
誰もいない教室を恐る恐る練り歩く真徒。
されど誰もいないことには変わらない。
「まさか…………」
真徒は、先程抱いた不安を思い出す。
まさか本当に人がいないのか?
そんなことあるはずない、そう考え学校を走り回ることとした。
「ひとまず他の教室だよな…………」
前へ後ろへ、教室をチラッと覗き込みながら廊下を走る。
ちらっと見えるだけでもやはり誰もいないことがわかる。
「まじで…………?」
不安が確信に変わっていくなか、別の学年の方も見る。
当然だれもいなかった。
「…………くそ!!」
移動教室用の教室を見る前に、再び各学年の教室を見る真徒。
今度は中に入って教室内を見るようだ。
「ここもいないか…………次は」
ドンドン
「ん?」
何個目かの教室で、去ろうとした時、ロッカーから突然音が響く。
開けても誰もいなかったが、音が鳴りそうな中身でもなかった。
「どういいことだこれ…………?」
ガンガン!! ガンガン!!
「!?」
何もわからず悩んでいると、向かいの教室上部の、廊下側の窓を叩く音が真徒に届く。
なにやら鍵を開けようとしてできない音も聞こえる。
何事かと教室を出るが、出た瞬間音が鳴りやんでしまった。
「なんだ……一体…………ッ!?」
混乱しながらも次へ行こうとした時、戸の窓に人影が映った。
「…………!?」
真徒が手を伸ばした瞬間、その影はすぐに消えてしまった。
気のせいだったのか今までのも?
「気のせいじゃない、いまは絶対見えてたはず…………」
その思考を、自身の記憶を信じて真徒は振り払う。
今度こそ何かあるはずだ、そう思いながら真徒は次へ行こうとした……
「―― ――!!」
「…………!! 声か!?」
その瞬間、後ろの教室で声らしきものが聞えてきた。
すぐさま真徒は後ろの教室の戸を開けようとする。
何故か開かなかったので戸は外した。
「おい!! 誰かいるか!!」
「うんん!!」
教室に入ると、そこには女子生徒がいた、何故か喋れないほどの拘束をされている。
「なんだ、なんだこれ!?」
すぐさま女子生徒を拘束している縄跳びを解こうとする真徒だったが、
その縄跳びは市販の半透明の者であろうにもかかわらず以上に硬く、
切れるのは当然として、解ける気配も緩む気配もない。
仕方なく、女子生徒を運ぶことにした。
切る物を探す、ではなく運ぼうとしたのは、先程の急な喪失を想定してのことか。
「んんうんん!?」
「!? どうし…………!!」
ただ、女子生徒は待ってほしそうに呻く。
なんでだ、と思いながら女子生徒が体を動かしてる方を見ると、
他にも女子生徒がいた。ただ最初に見つけた女子生徒同様に拘束されている。
「なんで、なんでこんなに…………!! いや、逆になんでこんな…………!?」
拘束されている女子生徒が多数、立てこもり?
にしては人が少ない、男子もいない。
何が起こっているかまったくわからない真徒、
ひとまず、女子生徒全員どうやって連れ出しつつ、
縄跳びを切れるもの探せるようにするか、
と考えていると…………。
「んん!?」
女子生徒の一人が、床に沈み込み始めた。
その沈む速度はすさまじく、すぐに沈んでしまい、次の女子生徒が沈み始める。
真徒は助け出そうとするが、二人目は間に合わず、
三人目も力をどんなに加えても止められずに沈んでいく。
「くそ!!?」
女子生徒が沈む中、真徒は最初に見つけた少女だけでも連れ出す。
しかし、
ピュッ
「むうん!?」
「な!?」
女子生徒にあなたに縄跳びが巻き付き、よりぐるぐる巻きにしながら吊るし上げた。
本来の廊下の高さから逸脱した所へ、だ。
「なんだよこれ…………」
「んん!! んーーーーー!!?」
「あ!? 待て…………!! ……くそ…………!!」
女子生徒に縄跳びがさらに巻き付くたびに縄跳びが天井を覆う。
真徒は女子生徒を助けようとするが異常に高くなった天井には近づけない。
巻き付いたり張り巡らされるたびに、同時に黒くなっていく縄跳びにより、
天井が真っ黒に染まると、黒が抜ける頃には天井は元に戻り、
女子生徒はいなくなっていた。
「あ…………」
理解が追い付かず、呆然とする真徒。
そして先ほどの不安は最悪な方向で的中した。
もしや人がいなくなる、そう思っていたが、当たっていたのだ。
――いや違うよ?
「!?」
突然声が響く。真徒は声のした方を向く。
その視線の先には窓があった、
だが、学校には存在しないはずのでかい窓だった。
「こんな窓、学校には…………ッ!!」
窓を調べようと真徒は近づいてみる、その際に見えた景色に真徒は驚愕する。
「なん…………だよ…………」
窓の向こうには、グラウンドと校門が映る、
そこまではいい、だがそのさらに向こうは…………。
「赤い」
赤、赤い何かがはるか向こうの彼方に続いていた。
信号、歩道、あらゆるものが赤に存在ごと塗りつぶされたような、
普段の景色とかけ離れた赤い景色。
そう、異常なのは、人が消えることではない。
「ここは、違う世界だっていうのか…………!?」
真徒は違う世界に来たと気づいた。
同じように先ほどの女子生徒たちも、真徒のように来た者たちだったのだ。
つまり、異物は真徒だ。
ガコン…………
「?」
…………ギュウン!!
「のわ!?」
何かが動いた音がした、そう思ったときには、
目の前の窓が奥行きをもって向かってきた。
真徒はなんとか避けるが、元居た場所含め廊下は窓だったもので埋まった。
窓は透明なので向こうは見えるが、それだけだ。
「こいつは…………」
殺しに来ていた……? そう考える刹那、真徒は正面に気配を感じる。
「廊下…………走ったな…………」
窓越しに見えるそれは、なんとなくおばあさんだった。
ただ、凄まじい低重心で真徒を睨み、動く時にテケと聞こえる。
「…………」
無言で走り出す。
「逃げる…………なァ!!!!??」
キィイイイイイインンン…………ゴボボボボオオオーーーーーーン!!!!!!
体をから何かを放出しながら、おばあさんは高速で走り出した!!
「!?」
それを見た真徒は驚き、階段ですぐさま降りる。
おばあさんはキレイに制動、方向を変え、再点火して追いかける。
「逃がさんぞ…………ォオ!!」
階段を降りた先で、真徒はおばあさんに追い詰められた。
「はぁハァア!!」
おばあさんは真徒に接触
「!!」
フゥン
仕様としたところで足払いを食らった。
足払いされたおばあさんは、
ドオオオオオオオオオンンン!!!
爆音と共に炎の中へ。
「…………なんなんだよ、本当に」
立ち上がると同時に頭を抱える真徒。
理解が追い付かな過ぎて情緒崩壊寸前である。
不思議な雰囲気を感じて後ろを見ると、黒ずみはあるが、火はなくなった。
「まじで、なんなん」
言いかけたその時、ゆらりと背後で何かが動いた。
「…………」
恐る恐る振り向くと…………
「…………」 ブゥン
ゴン…………バギィ!!
巨大な赤い赤い鬼が、軽く振るった拳で床を粉砕しながら佇んでいた。
「はは…………」
理解が追い付いてきたのか、慣れたのか、
恐怖したのか、定かではないが鬼を見た真徒は…………
「すう…………うおああああああああ!!」
叫び、走り出した。
あとは、最初の通り。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーー!!!!???」
このあとは、言うまでもない。
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