<コメント>

 今回のお題は「セーラー服・タバコ・終わり」でした。「セーラー服」と「タバコ」はあまり癖が無い単語ですが、「終わり」が抽象的で難しかったですね。

 「セーラー服」は女子高生の枕詞と言ってよいでしょう。もともとは水兵用の軍服らしいですが、その認識は薄いでしょう。「セーラー服と機関銃」「もってけ!セーラーふく」「美少女戦士セーラームーン」「明日ちゃんのセーラー服」といろんな作品名が思い浮かびますが、学ランと共に少し古いイメージもあります。最近はブレザー制服の方が多いのではないでしょうか。「タバコ」もよく物語に登場するアイテムです。だいたい一人くらいはダウナーおじさん・お姉さんがいます。「大人」「アウトロー」「気怠さ」なんかを表現するアイテムになりがちです。普通は「紙たばこ」ですが、少し前だと「キセル」、最近だと「電子タバコ」「水たばこ(シーシャ)」、場合によっては「葉巻」「噛みたばこ」など、形態も様々です。僕自身は吸わないのであまりわかりませんが、副流煙から漂ってくる甘い匂いは割と好きです。

 今回の厄介者は「終わり」でした。普通の物語は「終わる」ものなので、何もしなくても条件は達成できてしまうのですが、せっかくなので意識的に使いたいところです。ある物事の「終わり」を書くとなると、「卒業(学校生活の終わり)」「失恋(恋の終わり)」「死(人生の終わり)」が書きやすそうです。エッセイ的に書くなら、「退勤(仕事の終わり)」や「チューブ歯磨き粉の最後」、「シリーズものの最終巻」なんかをテーマにすると面白そうです。昔、宗教学の授業で「人間は儀式によって小さな終わり(子どもの終わり(成人式)や独身の終わり(結婚式)など)を何度も経験することで、いずれ迎える大きな終わり(死)に耐性をつけている」という話を聞いた覚えがあります。哲学的な話もできそうです。

 今回は「卒業を迎えた女学生が教師に想いを伝える」という話にしました。「セーラー服」は女学生で、「タバコ」は教師で使いました。「卒業」と「失恋」で「終わり」要素盛り盛りにしました。

 この作品は、先生のタバコ、目線、女生徒の語り口等々で、綺麗な表現を凝れたかと思っていますが、寧ろやり過ぎていたのでかなり書き直しました。それでも、締めの一文なんかはかなりお気に入りです。また、今回のタイトル「焦がれて」は「恋焦がれる」と「タバコ」を掛け合わせて決めました。こっちも趣深い感じにできてお気に入りです。

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第10回 焦がれて 佐々木キャロット @carrot_sasaki

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