ブルマの天ぷらだってぇ・・それも、汗にまみれた女の子が履いていたブルマぁぁ
永嶋良一
第1話
「ブルマの天ぷらだってぇ・・」
オレは思わず声を上げた。メニューの真ん中に・・そう書いてあるのだ。
居酒屋のメニューに・・ブルマ?
メニューを持ってきた女将が、オレに顔を近づけた。
「お客さん、ブルマの天ぷら、うちの名物なんですよ。皆さん、おいしいって・・」
女将がさらに顔を近づける。オレ好みの顔だ。女将の甘い吐息がオレの顔に掛かった。オレはどぎまぎしながら聞いた。
「で、でも・・ブルマって・・あの、体育の・・女子の体操着だろ? あのブルマを・・天ぷらで揚げるの?」
女将は当然だという顔をした。
「そうですよ。うちはね、運動して・・汗まみれになった女の子が、ずっと履いていたブルマをそのまま使ってるんですよ。だから、汗が染みてて、お味は絶品なのよ」
そう言うと・・女将がオレの首に手を回した。狭い店内にはオレと女将しかいない。女将がオレの顔を見つめた。
そんな姿勢で、女将に見つめられて・・オレの頭に、ずっと長い間、忘れていた甘い思い出が蘇った。
ブルマか・・懐かしい・・
オレの学生時代、女子の体操着はブルマだった。オレの後輩に・・ブルマがよく似合う可愛い子がいたっけ。オレはその子と付き合っていたが・・いつのまにか、その子はいなくなった。あの子、なんて名前だったかなぁ・・
再び、女将の甘い息がオレの顔に掛かった。
「ブルマにはね・・女の子のいろんな想いが詰まってるの。初恋の想い、夏の日の部活の想い・・そして、失恋の想い・・」
オレも女将を見つめた。
これって・・オレを誘ってる? じゃあ、お楽しみは食べてからだ・・
オレは首から女将の手をゆっくりと外した。
「それじゃあ、この・・ブルマの天ぷらを一つもらうよ」
・・・
女将が持ってきた料理を見て・・オレは口を開けたまま、固まってしまった。
皿の上に、衣をつけた大きな平べったい物体が乗っていた。箸で狐色の衣をほじくると・・紺色をした布地が現れた。紺のブルマだ!
女将の声がした。
「どうぞ、召し上がれ」
オレは箸でそれをつまむと・・口に入れた。柔らかい布が舌に触れた。汗の味がした。
女将が言った。
「それ、私が・・学生の時に履いてたブルマなんですよ」
えっ・・?
オレは天ぷらを咥えたまま、女将を見上げた。
女将が続けた。
「私ね、高校の時に・・同じ部の先輩の子を妊娠したのよ。先輩に妊娠を告げたら・・次の日、部活のあとでね・・先輩に学校の裏山へ連れていかれたの。そして、油の染み込んだブルマを頭から被せられて・・火をつけられて・・誰も来ない山の中に埋められたの。それから今まで・・世間では、私はずっと行方不明ということになってるらしいわ・・」
「・・・」
「あのときは・・熱かったなぁ」
「・・・」
「ねっ、そうだったでしょ。先輩・・」
オレが咥えていた天ぷらの中のブルマが・・大きく広がって、オレの目の前を覆い尽くした。
油のにおいが鼻を突いた。
女将がマッチを擦る音が聞こえた。
了
ブルマの天ぷらだってぇ・・それも、汗にまみれた女の子が履いていたブルマぁぁ 永嶋良一 @azuki-takuan
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