初美ワールド全開の中華コメディ

最初に言っておきます。
本作に「普通のヒト」は存在しません(誉め言葉)。

主人公やヒロイン(獣?)はもちろんの事、主要キャラからモブや脇役やられ役まで総じてどこか頭のネジが2~3本抜けていて、その言動や行動ひとつひとつに笑いやツッコミを入れたくなる事うけあいでしょう(笑)。

そう、作者の初美陽一先生の真骨頂である「どのキャラも読者を楽しませるために存在している」事に特化しているんですよ。
出た瞬間からオチが分かるやられ役(んでオチはそのナナメ上を行く)、ヘイトよりむしろ同情すら湧いて来るお間抜けな悪役、そして突っ込まずにはいられない奇行を繰り広げる主要キャラ達。

そんな「物語に動かされているはずのキャラ達」が、なんとまぁ実に生き生きとしてるんです。
お話の記号として動かされているキャラなんぞに魅力は感じませんが、この物語はその記号が奇行で溢れかえっている為、チョイ役でも強烈に「生きている」感じがしっかりと伝わってきます。


ライトノベルというのは、軽い気持ちで読めるお話であるべきだと思います。
それは他の誰かのテンプレをなぞる事で世界に馴染みやすくすることではなく、まさに本作のように爽快かつ笑いを誘って楽しく気軽に読み進めていける作品にこそ相応しいジャンルだと思うのです。

偏見的な意見ながら、本作は本物のラノベ、そして最高級のラノベと言って差し支えないでしょう。
是非、ご一読をお願いします。

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