潔癖戦隊・イレイジャー
ちびまるフォイ
潔癖戦隊の最終回前話
「さあ、みんな石鹸で手を洗いましょう。
そうそう。指の付け根もしっかりね」
ここはデパートの屋上!
今日は子供向けの手洗い講習会が開かれていた!
そんなとき、世界に危機が訪れる!!
「ギヒャヒャ! 俺はバイキン怪人ダストノイド。
ここにいる子ども達に菌をばらまいてやるぜ」
「きゃーー! 助けてーー!!」
お姉さんの助けを呼ぶ声が空に届いた!!
どこからかあの頼もしい声が聞こえてくる。
「そこまでだ!! ダストノイド!!」
地面からアルコールスプレーが吹き上がった!
「周囲の除菌は心の除菌!! イレイジャー・レッド!!」
「高圧洗浄は不浄の歩み! イレイジャー・ブルー!!」
「どんな浮遊菌も許さない! イレイジャー・グリーン!!」
「整理整頓は心の洗浄! イレイジャー・イエロー!!」
「香りの洗浄は至上のマナー! イレイジャー・ピンク!!」
「「 5人合わせて! 潔癖戦隊イレイジャー!! 」」
もう一度アルコールスプレーが噴き上がった!
近くにお座りのお客様は目に入らないようにご注意ください!
「なにぃ、潔癖戦隊だとぉ?」
「ダストノイド、貴様の悪事もこれまでだ!!」
「それよりひとつ聞いていいか」
「なんだ!」
「なんでみんなスーツ白色なの?」
「それは、汚れがわかるからだ!!」
説明しよう!!
赤色や青色などのスーツは色によって汚れが目立たない!
毎日スーツを高圧洗浄しているため、色落ちのリスクもある!!
なので潔癖戦隊のスーツは全員が共通の純白なのだ!!
たまに取り違えることもあるぞ! 注意しよう!!
「まあいい。レッド、ここで終わる俺だと思うな」
「そっちピンク」
「あごめん」
「いくぞ! 必殺! イレジャー・クリーン!!」
「なに!? いきなり必殺技を!?」
身構える怪人!
潔癖戦隊は舞台の掃除と除菌を始めた!!
「なにをしてるの……?」
「汚い靴裏で歩いた形跡がある。
まずは除菌してからじゃなと動けないからな」
「……」
「ちょっと待ってろ怪人!!」
潔癖戦隊があたり一帯を農薬撒くような機材で除菌していた!
前座のクリーン作業ですでに放送時間は半分を過ぎているぞ!
怪人は「巻いて巻いて!」というADのアドバイスを受け
脈絡はないが急に巨大化しはじめた!!
「ギヒャヒャ!! 時間もないので巨大化したぞ!!
これで貴様らはもう終わりだーー!!」
「いいや、ここで終わる俺たちじゃない! Go! ハイジェニックファイブ!!」
レッドが高らかに叫ぶと巨大ロボットが研究所で起動する!
ここで主題歌「キレイに戦え!イレイジャー」が流れる!!激アツだ!
各メンバーのロボットが手足となり、ひとつの大きなロボットに合体。
イレイジャーたちは巨大ロボットに乗り込んだ!!
巨大化したことで勝利を確信していた怪人は慌てた!
「くっ! 巨大化に対抗する策はあったというわけか!!」
「……」
巨大ロボットは動かない!!
すでに合体を終えてセットアップ済みだが、直立不動である!
怪人は察した。
「……もしかして、除菌してる?」
「もちろんだ!!」
潔癖戦隊がロボットの操縦席にたどり着いたらまず除菌から!
操縦桿なんて誰がにぎったかわからないし、
椅子だってメンテナンス中に誰が座ったかわからない。
レッドはロボットのあらゆる機材を除菌し、
ブルーは高圧洗浄機で床の汚れを洗い、
グリーンは空気清浄機を起動させ、
イエローは椅子の角度やらを一致させ
ピンクは無臭になるよう次亜塩素酸を撒く。
こんなことしているからすでにもう時間がギリギリだ!!
怪人も巨大化してから待機時間長いので、
巨大化効果も切れそうになっているぞ!
「ええい、もう待っていられるか!! 必殺くしゃみブレス!」
「ギャアアアーーーッ!!!!」
およそヒーローが出してはいけない声が響く!!
潔癖戦隊にとってマスクなしのくしゃみは天敵だ!!
巨大ロボ・ハイジェニックファイブは膝をついて倒れてしまった!!
「なんてことだ……。こんなにばっちぃ怪人だったなんて……!」
このままじゃ潔癖戦隊が負けてしまう!!
画面の向こうの君も、潔癖戦隊を応援しよう!!
あ、声での応援はやめよう!
つばが飛ぶのでかえって彼らを弱体化させるぞ!
応援するときはオゾンを焚くんだ!
さあ、画面の君もオゾンを焚いて潔癖戦隊を応援だ!!
たくさんの人のオゾンが空気で汚れをキャッチ。
ついに潔癖戦隊はふたたび立ち上がる!!
「みんなの除菌パワーが!! 力をくれる!!」
「なにぃ!? やられたはずでは!?」
「イレイジャー・ビーーーーームッ!!」
ハイジェニックファイブから除菌光線が放たれた!
強烈な光線で怪人は爆散!!
「除菌、完了!!」
爆散した怪人の飛沫1滴にすらかからない距離感で怪人をやっつけた!
除菌戦隊の兵器はすべて遠距離仕様だ!
近距離の武器は汚れちゃうから使わないぞ! 気をつけよう!!
「ありがとう、除菌戦隊……!」
デパートの屋上でお姉さんは感謝した。
こうして世界はまたキレイに保たれたのだった。
しかしーー。
「ぐっ!」
「れ、レッド!? どうしたの!?」
巨大ロボ・ハイジェニックファイブから降りた途端、
急にレッドが苦しそうに倒れてしまった!!
「まさか、怪人の攻撃か!?」
「いや不潔男爵が何かしたのかも!?」
「レッド! しっかりして!!」
いったいレッドの身に何が起きたのか!?
つづくーー
次回『レッド死す!? 常在菌の除菌は免疫低下!』
潔癖戦隊・イレイジャー ちびまるフォイ @firestorage
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