Thread Side 05 |<追記> 最後の“証拠”(終)

冬木修司の元恋人、山内奈緒がこの話を語った数日後、

行方不明者である白石涼は、勤務先のロッカー室で一通の封筒を発見している。


失踪後の会社の引き出しに残されていた封筒を最後の証拠として筆者は入手した。

封筒に差出人の名はなく、中には終電車内で撮影された一枚の写真が入っている。

写真は全体にブレているが、車両奥のシートには白石自身が座っているのが確認できる。

注目すべきはその窓際だ。

車窓に、うっすらと誰かがこちらを見ている人影が映り込んでいるように見えるのだ。


これを見た白石は悪戯だと考え、同僚らに写真を見せて回っていたと、同じ職場のK氏は証言している。

またK氏と山内氏の両名は、その影の顔が「冬木修司」に酷似していると口を揃えて証言している。


注目すべきは、この写真の存在が示唆する事実である。

白石はこの時点ですでに“見られていた”。

気づいていなかっただけで、“何か”はすでに間近に存在していたのではないか。


終電の車両。

白石が座っていたその場に、確かにもう“ひとり”がいた。

──そう考えるべきだろう。

そしてそれは、おそらく、同じく行方不明者となっている冬木修司だったということになる。


もしあなたが、次に終電に乗ったとき、 窓に映る自身の背後に“もうひとつの影”を感じたなら、 決して振り向いてはならない。

——最終電車で失踪者が相次ぐ某路線。 その謎は今も深まり続けている。 現時点で明かせるのは、ただひとつ。

もう一度言う、振り向いてはならない。

それが、“冬木修司”と目が合ってしまう一線かもしれないのだから。


中野区某所・2025年7月 ──筆者記。

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[ThreadStory] 終電の怪 風光 @huukougensou

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