【善悪】「すべての人間は善にならなければならない」それは理想ではなく、生きるための必然だ
晋子(しんこ)@思想家・哲学者
善は道徳的な理想論ではない、それは人類の生存戦略である
善人が滅ぶような地球で、人類だけが生き残れると思うのは幻想だ。
善がいなければ、社会は崩壊する。
そして、悪すら生き残ることはできない。
この世界には「善」と「悪」が存在している。
だが多くの人は、「善は理想であり、悪は現実的な選択肢」だと考えている。
人を出し抜く者が得をし、ずる賢い者が生き残る世界。
そういう現実に慣れてしまうと、「善」は弱者の道徳にすぎないと思えてしまう。
だが、本当にそうだろうか?
私たちが今こうして社会の中で生きていられるのは、誰かが「善」を選んできたからにほかならない。
電車が時間通りに来るのも、スーパーで誰かが品出しをしてくれるのも、
インターネットの向こうにいる人が、顔も知らぬあなたに誠実にサービスを提供してくれるのも、
それらはすべて「善意」や「信頼」や「責任感」によって支えられている。
善は、社会の根幹をなしている。
善が消えた世界で、果たして文明は成立するだろうか?
善は善のみでも生きられる。しかし悪は、善がなければ生きられない。
これは、単なる倫理的な比喩ではない。
構造としての真理である。
善は、自ら律し、他者と協力し、秩序をつくりあげることができる。
つまり「自立して機能する」存在だ。
一方で悪は、その秩序の中に入り込み、それを逆手に取る。
ルールを破る者が得をするのは、ルールが存在しているからだ。
他者が真面目に生きているからこそ、ズルをする者が得をする構図が成立する。
しかし、全員がズルを始めたらどうなるだろう?
誰も契約を守らず、誰も信頼せず、誰も責任を果たさなくなったら?
当然、社会は崩壊する。
そうなった時、悪もまた生きてはいけない。
つまり──悪は善に依存している。
それなのに悪は、自分が善を踏みにじっても生きていけると思っている。
それは、木を切り倒しながら、その枝にぶら下がっているようなものである。
悪は、善の土台の上でしか存在できない。
善がなければ、悪という概念も成立しないのだ。
善でなければならない理由は、倫理ではなく、生存戦略だ
多くの人は「善であれ」と言われると、それを理想論や感情論だと切り捨てる。
「綺麗ごとはもういい」「世の中そんなに甘くない」と。
だが、私は言いたい。
善であることは、甘い理想ではない。苦くて厳しい現実の中で、唯一残された生存戦略なのだ。
争いや裏切りが蔓延した世界では、誰もが警戒し、孤立し、疲弊していく。
不信と敵意の中では、経済も医療も教育も技術も育たない。
未来をつくる力は、善意と協力の中でしか生まれないのだ。
人類の歴史を見れば明らかだ。
戦争によって一時的に力を得た国はあっても、長期的に繁栄した国は、ほぼすべてが「善の仕組み」を整備していた。
法律、教育、福祉、公共性、平和外交──そういった善の制度が国を支え、社会を維持してきた。
悪が栄えたように見える時代でも、実はその背後に善のインフラがある。
それを破壊し尽くしたとき、悪も共に滅びる。
だからこそ、私はこう言いたい。
「善であれ」と。
それは夢ではない。道徳でもない。正義の押しつけでもない。
人間が生きるために、そうするしかないという必然なのだ。
すべての人間は、善になるしかない
善と悪の間で揺れ動くのが人間である。
完璧に善でいられる人間など、そうはいない。
だが、「完全に善ではないから」といって、善を目指すことをやめていい理由にはならない。
善であろうとする努力こそが、人間を人間たらしめている。
そして、その努力の積み重ねが、文明を維持している。
もしあなたが「他人なんてどうでもいい」と思っていたとしても、
その他人の善意によって、今日のあなたは生き延びている。
電気、水道、交通、通信、教育、医療、治安──それらは見えない善意と責任によって支えられている。
あなたが今この文章を読めているのも、無数の“善なる技術者”たちが働いているからだ。
その事実を無視して、悪だけが得をする社会を夢見るのは、あまりに短絡的だ。
それは、砂の城を永遠に守れると思っているようなものだ。
だからこそ、すべての人間は善にならなければならない。
それは道徳心の問題ではない。
生きるか、滅びるかの選択だ。
以上
【善悪】「すべての人間は善にならなければならない」それは理想ではなく、生きるための必然だ 晋子(しんこ)@思想家・哲学者 @shinko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます