概要
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- ★★★ Excellent!!!自分とは。家族とは。「愛」とは。しんみりと考えたくなる良作
主人公のまふゆが父と喧嘩をした場面から始まるこの物語は、序盤から終盤まで一貫して思考と感情を赤裸々に語る直球な文章で紡がれており、淡々粛々と進行する展開は、強い共感を誘うとともに「家族愛」について読者に静かに、しかし強く訴えかけます。
また、登場人物はみな写実的であり、深く、しかしひどく人間的な作風です。
衝突と決裂により凝り固まった思考も時間がゆっくりと溶解させ、結局は過去と今がより「あなた」と家族を愛おしくさせるのだと感じさせます。
さらに、全体を通して歴史や世相ともリンクしており、その妙な「リアルさ」はどうにも私自身とその周辺に意識を向けさせます。
家族に逢いたくなる良作です。