フワッとしたファンタジーに全力で掴みかかっていく作品。だが、惹かれる。

降りしきる豪雨の描写から始まります。

この主人公が「別の世界」(何となく『イセカイ』とは呼びたくない)に移る前の「最後の記憶」が語られる。

それからまたやや軽妙とも言える、日常の独り語りが始まったかと思いきや、あとは。
ハードボイルド的に熟れた文章が読み手を作者の思うがままに、掻っ攫い、引きずり回し…

いわゆるフワリとした「異世界ファンタジー」がラノベ界を席巻してから早10年以上。

私たちはこうした作品にいい加減、飢え、乾いてきているのではないだろうか。

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