第4話 スクリュードライバー

 以下、『第17話 スクリュードライバーとオレンジブロッサム(ステア)』から抜粋

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 柔らかいランタンの明かりが灯る部屋でミナトは大きめのロックグラスに透明な酒を注ぐ。グラスの中にはシャーロットに頼んで作ってもらったちょうどいい大きさのかち割氷が二個入っている。流れるような所作でミナトは透明な酒が注がれたロックグラスにミネオと呼ばれるオレンジの果汁を静かに注いだ。


 みるみる鮮やかなオレンジに染まるロックグラスをランタンの光が優しく照らし出す。未だバースプーンを手に入れていないので細身のナイフで代用し酒と果汁を混ぜ合わせる。氷と氷、氷とグラスがぶつかる静かな音がとても耳に心地よい。ナイフから一滴を手の甲に落し味を確認する。現状ではよくできたと言えるだろう。


「どうぞ…。スクリュードライバーです」


 そう言ってテーブルをカウンター代わりにしたミナトは対面に座っている美女へとグラスを差し出す。美しいほっそりとした白い両手で大きめのロックグラスを持ちながらカクテルを飲むその所作は驚くほど可愛らしく美しいと思うミナトであった。


「美味しい…。それにとても飲みやすいわ。ウオトカを普通に飲むのはそんなに好きじゃなかったけれど…、このカクテルはとても美味しいわ!ありがとうミナト!!」


 そう言ってぐいぐいと飲みだす美しいエルフ。そのとびきりの笑顔を見ることができてラッキーだと思うミナトである。

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 スクリュードライバーはとてもシンプルなカクテルの一つです。

 とある国の作業員が作業中の喉の渇きを癒すため適当に作ったカクテルって説があり、混ぜる道具が手元になかったからドライバーっていう工具を混ぜることに使ったからスクリュードライバーと呼ばれたとか。


 オレンジの味わいがしっかりと感じられるため、グイグイと飲めてしまうカクテルなのですが、実はそのほとんどがウォッカで造られているという飲みすぎ注意なカクテルであったりします。


 作中ではフレッシュなオレンジを使用していますがBarによってはバヤリースなどのオレンジジュースを使用することもあります。基本的にカクテルでフルーツを使用する際はジュースよりもフレッシュフルーツを使用した方が美味しいと言えるのですが、スクリュードライバーなど一部のカクテルではジュースを使用するという昔気質むかしかたぎ的な造り方にも根強い人気があります。


 スクリュードライバーのようなシンプルなカクテルでも、

 ウォッカの種類は? オレンジはフレッシュ?それともジュース? グラスに関してフレッシュならロックグラス? ジュースを使用するならタンブラー?

 といったように様々なバリエーションが楽しめます。


 夏の暑い日にも冬の寒い日であってもゴクゴク飲めるカクテルなので、今宵のBarの一杯目、スクリュードライバーはいかがですか?

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今宵はどうぞカクテルを 〜『転生したバーテンダーは異世界でもシェイカーを振りたい』より~ 酒と食 @winter0_0winter

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