辺境の村で薬師として働く家の、おてんば娘ニコルは、家業を継ぐために薬師スキルが欲しいし、薬師になるための努力も欠かさない。なんか幼馴染の男の子がブツブツ言っているけど、年頃の子が勇者にあこがれるのはよくあることなので気にせずにいた。
本当に勇者として覚醒し、村長の孫娘は聖女となり、村を離れていくが、勇者の物語につきものの、辛いエピソードがニコルたちを襲うことになり……。
ニコルが勇者ジークハルトに対してこれっぽっちも脈がある様子を見せず、笑ってしまうし、お金大好きで自力で生き抜く力を磨くニコルの魅力は留まることを知らない。
勇者でも、勇者じゃなくても、人生の主役にはなれるし、生きるということはドラマチックなのかもしれない。英雄譚の片隅にも残らない、薬師とその家族の生きざまを読んでみてほしい。