小学3年生の私が万引き少女になるまで

欠陥品の磨き石 磨奇 未知

第1話 私の平凡な日常

タイトル 私の平凡な日常

私は1人で生きていく。

小学3年生の私が言っても鼻で笑われるかもしれない。

だけど、私の過去を知れば、笑うなんて行為は到底できないだろう。

1週間前

バチン!!

しなったムチが私の背中に牙を向いた。

背中にじんわりと赤いあざが残る。

体中に赤色と肌色のコントラストが浮き出てくる。

濃い紫 薄い青のあざと相まって、ピカソを彷彿とさせる一つの芸術作品になっていた。なんとも皮肉なことだ。

虐待が偶然にも芸術作品に見えるなんて。

私はどこまでも道具なんだ…心の中で反芻した。

片手にベルト、もう片方に錆びた缶チューハイを持ち、フラフラと酒を溢しながらいつもの叱責が父から飛んできた。

「お前が生まれたせいで、真由美が家出したんだ…

お前が…お前が家にいるせいで俺はどんどん不幸になる。

お前が死んでくれたら俺は幸せになるのに!!」

父は顔を真っ赤にしながら片手に持っていた缶チューハイを私に投げつけた。

お酒で赤くなっているのか怒って赤くなっているのか見分けがつかないほどだ。

ガン! 私の脇腹にヒットした。

どうやら父には投擲の才能があったらしい。

私は父の予想外の投擲に驚きながらも、少し喜びを感じていた。

父の虐待はいつも1パターンで、次に何をしてくるか簡単に予想できたからだ。

私の毎日はいつも同じで面白みもない。こういうちょっとした変化を楽しむぐらいしかすることがないのだ。

私が不気味に笑っていると、

父が散乱した缶チューハイを足で避けながら私の胸ぐらを掴んだ。

手足を結ばれていた私は抵抗することが出来ず宙に浮いた。

何故だろう私は幸せを感じていた。

いつもと違う父の行動 もっともっと見てみたい

もっともっと楽しみたい。


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