これはひとりの創作者を思い起こし、送り出すための回顧録

 カクヨム甲子園へ作品投稿することを決めた高校生は“柑月渚乃”のペンネームを自らへ与え、活動を開始した。――柑月渚乃だった頃の自分を月城ナノとなった現在から返り見、創作へ向かう自分の愛し方を探るエッセイ。

 こちら、もっとも多感で繊細な高校時代にカクヨム甲子園へ挑んだ月城さんの回顧録となります。

 まず目を引きつけられたのは『私はあの頃、柑月渚乃を演じていました。』、この一文ですね。創作はそもそもキャラクターに作者自身の思いや願いを演じてもらう一面がありますよね。だからこそ続けて綴られていく吐露が本当に「わかる」ものばかりで……読者は自身へ月城さんが曝け出したものを重ねてしまいますし、共感せずにいられません。そして生臭いまでの本音を叩きつけられ、打ちのめされずにいられないのです。

 これはひとりの創作者の回顧であり、うそぶきであり、叫びである。読み専の方へももちろんなのですが、創作者の方、ぜひご一読ください。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=髙橋剛)

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