『廉井徳夫』が語り出す謎と真相

奇妙な伝言メッセージを受け取った紀藤宗也。
『そろそろ思い出してよ。ヤスイトクオ』
この謎の人物を巡って物語は綴られていく。新聞記者の五十嵐慎哉の取材という形式で、紀藤宗也の中学時代に関わる人々の口から、一見関連性がないかに思われる過去の事件が語られる。
真相が明かされていくほどに絡まっていた糸が解け、やがては謎の発端である名前を綴り出す。
そのロジックが解き明かされた時、読者は膝を打つだろう。
現実の大震災を背景に構築された緻密なプロットが光る、作者渾身のミステリー作品である。

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