【短歌】君のいない部屋にも、朝がくる

kesuka_Yumeno

君のいない部屋にも、朝がくる

1. 星空に 君の肩越し 揺れる火と 遠い太鼓が 胸に鳴りだす


2. 手を出せば 触れられたのに 言えなくて 歩き去る背に 声は届かず


3. 山百合の 白さが胸を 裂いた午後 ここにはいない 君はどこにも


4. 灯を消せば 君がいた日が にじみだす カーテン越しの 街は静かで


5. なんでやの おかしいやろが わろてまう おらへんだけで 部屋が死んどる


6. 夢に出た もう会えないと 知ってても 君はやさしく 髪を撫でたね


7. 歯を磨く 君の癖まだ 染みついて 空のコップが 朝日に光る


8. 花瓶から 水がこぼれて 揺れる影 誰の涙も ない部屋の中


9. 手を振った はずだったのに 手が震え 見送れなかった 朝の改札


10. それでもと カーテンを開け 朝がきて 君のない部屋 光が満ちて

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