60代年金健康ポイ活
田島絵里子
第1話
60代からの年金ポイ活:新たな一歩を踏み出す時
人生100年時代と言われる現代において、夫が62歳で定年退職を迎えたのは、まさに令和7年5月31日のことでした。退職のきっかけは、ほんの些細な体の変調でした。
長年IT系の技術者として活躍してきた夫は、若い頃から腱鞘炎とは無縁ではありませんでした。しかし、その時ばかりは違いました。指が完全に動かなくなり、さすがの夫も焦りを覚えたようです。長年の無理がたたったのだろうと、ドクターに相談したところ、返ってきた言葉は「老化」という、なんともシンプルな診断でした。
時を同じくして、今度は膝に痛みを訴え始めました。ここでも再びドクターの診察を受けましたが、やはり同じく「老化」という診断。まさにダブルパンチです。体は正直なもので、年齢を重ねるごとに変化していくことを嫌というほど突きつけられました。指はマッサージで何とかなりましたが、体力の衰えはいかんともしがたい。
私自身も、夫の定年を前に、これからの生活について漠然とした不安を抱えていました。人生100年時代とは言うものの、健康に長く生きるためには、経済的な裏付けも必要不可欠です。年金だけでは心許ない。かといって、今から新しい仕事を始めるのも現実的ではありません。
ポイ活で拓く新たな経済圏
そんな中で、ふと頭をよぎったのが、巷で耳にする「年金ポイ活」という言葉でした。以前から興味はあったものの、どこか他人事のように感じていたそれが、俄然現実味を帯びてきたのです。夫の定年を機に、私たち夫婦の新たな挑戦が始まろうとしています。指や膝の老化は、私たちに立ち止まるのではなく、むしろ新しい道を模索するきっかけを与えてくれたのかもしれません。
2025年に入ってからは、本格的に**「ポイントによる売買」**、つまりポイ活に力を入れ始めました。まずは手始めに、夫が今まで使っていたクレジットカードを整理することに。長年何となく使い続けていたカードの中には、ほとんど出番のないものや、ポイント還元率が低いものも少なくありませんでした。これを機に、本当に必要なカードだけを残し、家計の支出とポイントを効率的に結びつけることを意識しました。
そして、私たちが目をつけたのが、リクルートカードやVisaカードなどとAmazon Mastercardの連携です。カードを複数持ち、それらの特性を活かしてポイ活をする。
これらを連携させることで、驚くほどポイントが倍増する仕組みを知りました。日常の買い物から光熱費の支払いまで、可能な限りこれらのカードを活用し、貯まったポイントをAmazonでの買い物やPonta提携店での支払いに充てる。まるで現金でなく、ポイントが私たちのもう一つの財布になったような感覚です。
アマゾンが一人勝ちする理由
実際にポイ活を始めてみて、改めて感じたのは「やはりアマゾンは一人勝ちするわけだ」という納得感でした。他のクレジットカードのポイントは、何かと制約が多いんです。例えば、「貯金」と称してすぐに使えなくしたり、交換できる商品が限られていたり、そもそもポイント還元率が低かったり……。せっかく貯めても、使い道に困ったり、なかなか恩恵を感じられないことが少なくありませんでした。
しかし、Amazon Mastercardは違いました。一番驚いたのは、例に挙げたように、その高いポイント還元率です。リクルートカードやビサなどで提携したりして、貯まったポイントは、Amazonでの買い物に惜しみなく使える。日常的に利用するAmazonで、ポイントがそのまま割引になるのは、本当に助かります。必要なものがすぐに手に入り、その上でポイントも貯まる。このシンプルで分かりやすい仕組みが、私たちのポイ活を継続させる大きなモチベーションになっています。
この早くなった定年が、私たちにとってポイ活という新しい世界への扉を開いてくれた、とも言えるでしょう。もし夫が65歳まで働き続けていたら、きっとポイ活について真剣に考えることもなかったかもしれません。時間的な余裕ができたからこそ、じっくりと情報を集め、夫婦で知恵を出し合い、家計を見直すきっかけができたのです。
令和の米騒動と家計防衛
そして、このポイ活の重要性を痛感したのが、まさに現在進行形で話題になっている**「令和の米騒動」**でした。2024年夏から続く米の価格高騰と品薄は、私たち夫婦の食卓にも大きな影を落としています。スーパーで5kgの米が4,000円を超えるなんて、数年前には考えられませんでした。
わたしたちは、備蓄米が解放されるという6月8日にスーパーに並び、2000円で備蓄米を買いました。
こんな時代だからこそ、ポイントを効率的に活用できるAmazonのような存在は、本当にありがたいと感じています。Amazonで日用品を購入する際に貯まるポイントを米の購入に充てることで、実質的な支出を抑えることができる。ささやかながらも、これは私たち夫婦にとって重要な「家計防衛策」になっています。
老化という現実を突きつけられ、一時は途方に暮れそうになった私たちですが、このポイ活という新しい世界に足を踏み入れたことで、漠然とした将来への不安が少しずつ晴れていくのを感じています。お金を稼ぐだけでなく、賢く使うことで、豊かなセカンドライフを築ける。そんな希望が見えてきました。このポイ活は、私たちの定年後の生活に、思わぬ彩りを添えてくれています。
ポイ活を始めてから、夫婦の会話も増えました。どの店でどのカードを使うか、今月はどれだけポイントが貯まったか。まるでゲーム感覚で楽しんでいます。そして、令和の米騒動のような予期せぬ事態が起こっても、少しは落ち着いて対処できるようになった気がします。
60代年金健康ポイ活 田島絵里子 @hatoule
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