灰色の街に残る色彩

感情を色で視る少女の視点で描く、スチームパンクダークファンタジー。
魔法弾圧の軍政国家という重厚な世界観の中で、絶望の底にいる人々がほんの小さな光を見つけていく物語。文章が美しく、キャラクターの内面描写が胸に迫ります。
特に主人公の「感情が色として見える」という設定の使い方が素晴らしい。ありふれた異能ものではなく、人の心の機微を描く手段として機能していて読んでいて引き込まれました。
救いのない世界だからこそ、小さな優しさや温かさが際立つ。読後にじんわりと心に残る、丁寧に作り込まれた作品です。

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