ナツガタリ一首部門

得恋から失恋へと至る、
悲しくユーモアにあふれた作品です。

「冷やし中華みたいな恋」という比喩は、
奇想天外で思わず笑ってしまいましたが、
言い得て妙な感じがひしひしと伝わってくるのでした。

全体に夏の空気感が感じられて、
ブラックホールのように引き込まれます。

感性の光る短歌集。

推し短歌1首。

冷やし中華みたいな恋だったよね　まだぬるいのにザルに晒して

初見時、キュートだ！と思いました。
コミカルであったり、切なかったり、勢いがあったり。さらっと読んだだけで、多様な感情を味わえ、色々な情景が見え、それを受けて自分の中からも感情がわいてきました。
そういった直感のままに受け取っても素敵な作品ですが、深読みするのもとても楽しかったです。
10首連作部門と違い、1首部門は方向性的なものが示されません。その分、読者はどこまでも自由に作品を解釈していくことができるのではないでしょうか。
一度思い込んだ解釈を手離して、いろんな角度から見つめ直すと、たった三十一文字からいくつもの世界が見えてきて、すごく面白かったです。
それは1首1首が選び抜かれた言葉で…続きを読む

ぴゅうと飛び出るカレー光線。
冷やし中華みたいな恋。
上履きを揃える君のうなじ。

ひとひねり、ふたひねり。
変化球の多い短歌です。
カーブでもスライダーでもない。

私はこれらを前衛的で新鋭なる投球『タンカ』としてこれらを受け止めました。

どんどんストライクゾーンに吸い込まれていく。
読者であるキャッチャーはその球質のレパートリーに目を見張ることでしょう。

こちらは作者様のナツガタリ短歌賞参加の短歌集です。

淡い恋だったり、コミカルだったり…時にはカレービームが出たりと🍛

変化に富んだ恋模様が読める歌集です。
これからどんな恋歌が飛び出るのか、ぜひ、読んでみてください。