概要
彫刻は彫ったものに似るという。
朽ちかけた彼の顔は、この地元に住む知人によく似ていた。
この作品は、静かな中に、決して静止していない人間の内的運動がある。地元を離れず、しかし“帰郷”する物語。観音像に惹かれるのは、過去に惹かれるのではなく、まだ来ぬ未来が自分を呼ぶ声に気づいたからだろう。彫る者は、ただ仏を彫るのではない。自己と世界の境界線を彫るのだ。
ーー2020年2月29日に書き上げ、北の文学の最終選考に選ばれました。最終シーンは2025年8月になります。
この作品は、静かな中に、決して静止していない人間の内的運動がある。地元を離れず、しかし“帰郷”する物語。観音像に惹かれるのは、過去に惹かれるのではなく、まだ来ぬ未来が自分を呼ぶ声に気づいたからだろう。彫る者は、ただ仏を彫るのではない。自己と世界の境界線を彫るのだ。
ーー2020年2月29日に書き上げ、北の文学の最終選考に選ばれました。最終シーンは2025年8月になります。
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!人生という年輪の中から佛を抱くような、そんな実在感
はっきり言って、圧巻でございます。
奇しくも、私の本業と居住区に近い場所の物語という、
要素が二重に重なった偶然が手伝って、素晴らしい解像度で描き出された山と樹と人間
分け入っていくその先に現れる、山の神との邂逅
幾百年の年輪と向き合うということは、人間の歴史、営みから生まれ出るということと同義。
そこに生き、そこで重ねられた営み、人と想いが顕在化する
それこそが佛を抱くということに他ならない。
緻密なる取材と、現地での体験が見事に結実した
岩手という風土の粋となる部分までも掬い上げた至高の一作。
あなたも、この息吹を感じてみるが良い