燃える
二ノ前はじめ@ninomaehajime
燃える
とある
日中のことで、
何より異様だったのは、そのたゆたう炎の中に無数の目が浮かんでいたことだ。縦に裂けた瞳がてんでばらばらに向きを変えて、目が合った行商人の一人が腰を抜かす。周囲の反応に構わず、
つまりは私が立ち尽くす方向だった。
目を覆い隠した両手の隙間から、涙が頬を伝っていた。
炎の尾を引きながら、燃える男の姿は谷の下へ消えた。水音が
流れていく橙色を呆然と見送りながら、私はふと思った。
彼を覆うあの炎は、いつか消えるのだろうか。
燃える 二ノ前はじめ@ninomaehajime @ninomaehajime
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