かく恋ぼ(かくれんぼ)
まえとら
かく恋ぼ(かくれんぼ)
小さな男の子が枝っきれの棒を指揮棒のようにふって、歌いながら歩いてきます。
川辺に咲いている紅色の彼岸花には、アゲハ蝶たちが蜜をもとめて舞っています。
ススキの原っぱからキツネのお耳がひょっこりと、男の子の歌を聞いています。
キツネの女の子が顔をだしました。
「かくれんぼしようよ」
「うん。いいよ」
「もういいかい」
「まあだだよ」
「もういいかい」
「もういいよ」
男の子はキツネの女の子が顔を隠しているけれど、
しっぽをススキの原っぱから嬉しそうにふっているのをみつけました。
でも。「みーつけた」って言えないよ。
まだ一緒に遊びたいんだもん。
一緒にいたいんだもん。
お母さんが呼ぶ声が聞こえます。
「みーつけた」
「みつかっちゃった」
「ばいばい」
「ばいばい」
手をふって、さよならしました。
ススキが風に吹かれてゆれました。
キツネの女の子のおしりのしっぽもゆれました。
かく恋ぼ(かくれんぼ) まえとら @mae10ra
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます