名を捨てて引きこもった神が、猫に構われながら祈りに応えていく話

忘れられた屋敷。
名を捨て、世界から隔絶された神は、ただひとり、祈りの届かぬ空間に生きていた。

だがある日、箱の中から猫が現れる。
無遠慮に生活に入り込み、寝床を侵し、供物を奪い――やがて、神の沈黙をゆっくりと揺らし始める。

名前とはなにか。祈りとはなにか。
逃げるようにして神となった少女が、「誰か」に戻っていくまでの物語。

答える神ではない。
ただ、聞く神として。
歌うことで、祈りに寄り添っていく――

これは、神が再び世界を受け入れるまでの、静かで優しい、祈りの記録。