この作品、どこかでタイトルを見たような気がする。ずっと前に何度もなんども。じつは「おとろし」はすぐそこにいるんじゃないだろうか・・・。それこそまさに「おとろし」なのだが。
色々おぼつかない老いた婆をみる男が一人心の闇に巣食おうとするあやかしが一人男に闇はあるのか、あやかしの誘惑は勝つのかせめぎ合いの中で日々が過ぎて行く
この作者様にしては珍しいホラーです。軽妙な語り口のギャグタッチが持ち味の作風が多い中、理不尽に母から罵られ、米がゆを投げつけられるというシリアスな場面からのスタート!疲労と絶望の中、殺せとの囁きに揺るがぬ姿が輝きます。長髪に包まれた巨大な頭部、ときに牙や鋭い爪を持つ異形の姿で描かれるおとろし。まるで「イエスの荒野での誘惑」を思い描かせます。徘徊した母を必死に探し、背負って帰る息子。深い愛情を感じさせます。そして、ただ生きていてほしかった、との言葉。胸にしみます。
老婆と、息子と、妖怪のお話です。老婆につらく当たられる息子に、妖怪はあることをささやきます。「 」そのささやきは、そう思ってもしょうがないというようなもので。息子はその妖怪のささやきに抗っていますが、ある日、老婆と息子の生活はひとつの転換点を迎えます……。老婆と、息子と、妖怪のラストがどうなるのか?思わず見届けたくお話です。結末に、心が震えました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(459文字)
小さな小屋の中に住まう、年老いた母とその息子。世話をする息子に、暴言を吐いて物を投げつける母。血を流す息子の耳元で「ころしてやる」とささやく妖がいた――淡々とした簡潔で読みやすい筆致で描かれる、一話完結の作品です。一見恐ろしい話のようで、優しく切ない雰囲気が漂った良作です。
童話のようであり、哲学のようでもあるこれは愛についての物語
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(195文字)
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(338文字)
色んな妖怪が出てきてニヤニヤした。とくに大好きな、おとろしをタイトルにも、キャラとしても重鎮に置いていてもう最高でした!妖怪好きにオススメです
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(13文字)
最初、「ころしてやる」ってささやく声があるってだけでめちゃくちゃ怖そうな話かと思ったんだけど、読んでいくうちに、だんだんその“怖さ”の中にある静かなやさしさとか、人間の深い部分にグッときました!
優しくゆったりとした筆致で、恐ろしい話なのにどこか温かみを感じます。妖怪がいくつか出てきますが、生活に溶け込んでいるよう。とても自然です。「おとろし」を調べてみました。このお話を読むときの解像度があがりますね。ラストが好きです。ぜひ読んでみてください。
最後まで良い展開で目が離せませんでした。終わり方が最高に素晴らしかったです。本当に辛いのは悲しいのは…。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(99文字)