妖魅、至りて相混じりたる
- ★★★ Excellent!!!
老いた母と、朴訥で真面目な男。
粗末な小屋に棲まう彼等の側には目には
見えないモノ達が寄り添う様に存在して
いる。或るモノは 死 を囁いて、又
或るモノは僅かな施しを齎らす。
既に母には渡世が理解らず、只その身の
苦しみを吐露するだけだ。淡々とした
息子の献身は悉く路傍に落ちる。
おとろし の昏い囁きは彼の耳朶を掠め
僅かな米と同様に地に溢れ落ちて行く。
眈々とした妖しきモノの囁きを、そして
哀しみを静謐の中で只淡々と描いて行く
作者の筆は、それ故に優しい。恰も目には
映らないモノに影響される様でいて、実は
我々も影響を与えているのかも知れない。
我々は知らぬ間に妖しのモノと共存して
いるのだろう。良し悪しは傍に置いて、
則ち 在るが儘 である。