第4話


 ミルグレン・ティアナ。


 今はサンゴール王宮の柔らかな寝台であどけない表情で眠る姫である。


 彼女の名はサンゴール王家の系譜に誕生し、そして完結しないまま消え去ることになる。

 しかし彼女はサンゴール王宮そして国民の誰からも愛される少女であった。

 彼女の父がそうであったように誰もが彼女を愛した。


 だが彼女はやがて自分の足でこの優しい大地を去ることになる。

 

 それは奇しくも彼女が兄のように慕った、メリクが予期した運命とは、真逆に異なる予感に突き動かされてのことだった。


 冷厳のサンゴール王宮において温かい光に包まれ育てられた王女が、

 グインエルが弟であるリュティスの唯一の光となったように……。


 やがて運命に惑う一人の青年の心を照らすことになるのは、まだ少し先の話である。


【終】


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その翡翠き彷徨い【第22話 ミルグレン】 七海ポルカ @reeeeeen13

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